平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第1章 情報通信と成長を結ぶ経路

第2節 情報通信と成長を結ぶ「経路」

 これまで見てきたように、情報通信と経済成長の間には統計的に明確な相関が存在し、これを一つの論拠として、各国でも経済再生に向けた情報通信分野の国家戦略などが策定されていると考えられる。しかし、情報通信と経済成長の相関は、単に見かけ上の相関である可能性もあり、その論理的関係や因果関係をよく吟味する必要がある。例えば、情報通信の伸びが経済成長を牽引するのか、成長して豊かな国ほど情報通信を利用する機会が多い(すなわち所得効果)ということなのか、その因果関係の方向によって、政策的インプリケーションも異なるだろう。
 そこで、本節では、情報通信と経済成長を結ぶ経路を明確化し、具体的なデータを使ってその経路を検証する。政策立案を行う上でこのような視点は重要である。限られた政策資源の中で「成長につながりそうな」響きの良い政策をメリハリなく網羅的に並べると「総花政策の罠」に陥り、成果が出てもどれが効いたか分からず、成果が出なくてもどれが効かなかったのか分からない。また、ミクロの視点では正しくてもマクロの世界では意図しない結果につながる「合成の誤謬」が生じるおそれもある。効果的かつ効率的に政策を発動するためには、政策目標と政策手段の論理的なつながりを明確化することが必要である。

 第2節 情報通信と成長を結ぶ「経路」

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