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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか第3章 日本復活へ向けた3つの挑戦
(3)ユビキタス観光バス(韓国)
●先進技術を駆使したユビキタス観光バスで、地域観光資源をフルに活かす 釜山市では中央政府の電子政府構築計画と連携し、2004年からユビキタス都市建設を目指した「釜山U-City計画」を実行している。同計画の「U-観光事業」として、2006年8月に韓国で初めて先端ユビキタス観光案内システムを備えた2階バス2台を新しく導入し、2007年9月にも追加導入して運営を行なっている。 図表3-2-3-5はユビキタス観光バスの外観と車内の様子である。ヘッドレストにタッチパネル式液晶モニターと位置情報システム(GPS)、無線ネットワークなどが設置されている。運行コース周辺の有名観光地や遺跡、史跡などに関する案内放送と関連映像をリアルタイムで提供(韓英日中の4言語)し、HSDPA4(高速携帯インターネット)を通じたインターネット利用が可能なほか、インターネット専用座席ではノートパソコンを利用して運行中に宿泊や飲食店、観光地などに関する各種情報を検索し、その席で予約が可能となっている。また、地上波DMB5放送を視聴して、GPSを利用した「到着お知らせサービス」を通じ、次のバスの到着時間の確認も可能となっている。釜山シティツアーを利用した観光客の数は、2007年で5万7,200人となっており、2006年から2倍以上増加している。利用客は、10%が外国人、40%が高速列車などを利用した来訪者であり、釜山観光の活性化にも大いに寄与している。
図表3-2-3-5 釜山シティツアー観光バスの概要
ユビキタス観光バスの特徴としては、[1]GPS、無線ネットワーク、地上波DMB放送など、ユビキタス先端技術をフルに活用した情報通信システムを構築していること、[2]自治体と地元観光産業が連携して、観光者をターゲットとした観光地案内などの魅力あるコンテンツを、公共サービスとしてリアルタイムで提供する体制を構築していること、が挙げられる。
4 High Speed Downlink Packet Accessの略
5 Digital Multimedia Broadcastingの略。地上波DMB放送は、2005年に韓国で放送を開始した小型携帯機器用地上デジタルテレビ放送であり、日本のワンセグ放送に相当する
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