平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第5章 情報通信政策の動向

(2)「ICTビジョン懇談会」の開催

 我が国においては、ICT分野における国家戦略として「e-Japan戦略」「IT新改革戦略」等を策定し、所要の政策展開を進めてきた。こうした政府全体の戦略の下、総務省においても、「u-Japan政策」を策定・公表し、2010年度を目標として「いつでも、どこでも、何でも、誰とでも」ネットワークにつながる「ユビキタスネット社会」を実現することを目指し、ユビキタスネットワークの整備、ICT利活用の高度化、ICT利用環境の整備等に関する様々な施策を展開してきたところである。
 しかしながら、「IT新改革戦略」は2010年度までを目標年限として設定しており、「ブロードバンド基盤の全国整備」(2010年度末)や、地上デジタル放送への完全移行(2011年7月)が完了する2010年代初頭の「完全デジタル元年」以降の総合的なICT政策の在り方等については、未だ検討がされていない状況にあった。
 このため、総務省では、完全デジタル時代を迎える2011年以降を想定し、今後のICT市場の構造変化、ICT技術のトレンド、利用者ニーズの動向等について、2015年頃を展望した総合的なICT政策の方向性(ビジョン)を描くことを目的として、2008年10月より総務大臣主催の「ICTビジョン懇談会」4を開催することとした。
 同懇談会は、2008年秋の金融危機に端を発する世界同時不況による我が国経済の急速な悪化を受け、政府が進める新たな成長戦略の策定に貢献するためにも、ICT産業を新たな成長戦略の柱に位置付けるべきとして、2009年2月に、総務大臣に対し緊急提言(「ICTニューディール」)を行った。総務省は、この緊急提言を踏まえ、当面3年間(2009年〜2011年)に集中的に実施すべき重点施策として、「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)−骨子−」を取りまとめ、関係府省と連携しつつ施策の具体化に取り組んでいる(図表5-1-2-1)。
 
図表5-1-2-1 デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)具体的施策の概要
図表5-1-2-1 デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)具体的施策の概要

 また、同懇談会は2009年6月に報告書「スマート・ユビキタスネット社会実現戦略」を取りまとめ、公表した。同報告書では、全ての国民がICTを安心して利用でき、その恩恵を享受することができるよう、遍在する(ubiquitous)ICTが普遍的(universal)に利用者に受け入れられる「より進化したユビキタスネット社会」、すなわち「スマート・ユビキタスネット社会」の実現を提言している。「スマート・ユビキタスネット社会」においては、直観的かつ操作性の優れたインターフェースでICTが利活用できる利用者本位(user centric)な環境や、大量の情報が溢れている中にあって、一人ひとりに対して、適切な情報が適切なタイミングで自動的に配信される環境などが実現するとされている(図表5-1-2-2)。
 
図表5-1-2-2 「スマート・ユビキタスネット社会実現戦略」の基本理念
図表5-1-2-2 「スマート・ユビキタスネット社会実現戦略」の基本理念



 第1節 総合的戦略の推進

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