平成21年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第3章 日本復活へ向けた3つの挑戦

(2)日本のインターネット利用の特徴

●モバイルインターネットで日本は世界最先端の水準にあるが、利用の高度化の余地は大きい
 「電子商取引」と「交通・物流」等における利用率をさらに引き上げ、利用の内容を深化させるための方策を検討する上で、まず日本のインターネット利用の実態を把握しておこう。
 図表3-2-4-2は、利用端末別のインターネット利用者(過去1年間にインターネットを利用したことのある人)の数を表したものである。平成20年末のインターネット利用者数は9,091万人、人口普及率が75.3%に達する中で、モバイル端末(携帯電話・PHS等)からのインターネット利用者(パソコンやゲーム機・TV等との併用を含む)は7,506万人、82.6%となった。高速のインターネット利用を可能とする第3世代携帯電話の携帯電話端末に占める比率は平成20年12月末時点で90.8%と、図表2-2-2-4における7か国比較でも1位となっており、モバイル・インターネットにおいて日本は世界最先端10となっている。
 
図表3-2-4-2 インターネットの利用端末の種類(個人)(平成20年末)
図表3-2-4-2 インターネットの利用端末の種類(個人)(平成20年末)
(出典)総務省「平成20年通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

 次に、インターネット利用の内容について、パソコンと携帯電話を比較してみよう。図表3-2-4-3は、インターネット上で利用する機能やサービスを、パソコンからの利用と携帯電話からの利用の別で比較したものである。パソコン利用者は多目的な利用(企業や個人のウェブやブログの閲覧、商品等の購入・取引、電子メールの送受信、地図情報の入手など)を行っているのに対し、携帯電話利用者は利用目的が電子メールに集中する傾向がある。つまり、世界最先端のモバイルインターネット環境は実現しているものの、それを活かした利用形態が広がっているとは言えず、利用を高度化する余地が大きいといえる。
 
図表3-2-4-3 利用端末別のインターネット利用目的
図表3-2-4-3 利用端末別のインターネット利用目的
総務省「平成20年通信利用動向調査」により作成
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
Excel形式のファイルはこちら

 このように、「電子商取引」や「交通・物流」といった日本で利用の進んだ分野でも、携帯電話利用者を照準としてさらなる深化を図り、モバイルインターネットにおける日本の競争優位を伸ばしていく潜在力があると考えられる。

●日本はコミュニケーション目的の利用に特徴があり、ソーシャルメディアの成長に期待
 次に、インターネット利用の内容を国際比較してみよう。図表3-2-4-4は、インターネットの利用目的を前出の7か国間で比較したものである。日本は、電子メールやホームページ・ブログ・掲示板への書込、SNS、動画等の投稿共有サービス等のコミュニケーション目的の利用が多い傾向が見られるのが特徴的である11。また、図表2-1-3-10でみたように、日本の主要なソーシャルメディアの利用者数は増加しており、掲示板やブログ、動画投稿共有サイト、価格比較サイト、ウェブ百科事典、質問サイト等の利用者発信型のコンテンツの利用者数が、大きく伸びている。このうち、特にブログについてみると、図表3-2-4-5のように、我が国の公開ブログ数は2003年から急速に増加し、2008年1月末現在で約1,690万にのぼっている。図表3-2-4-6はブログ利用動向の5か国比較(日本、韓国、米国、英国、フランス)を示すが、日本ではインターネット利用者の74%がブログを閲覧しているのに対して、韓国では43%、米国では27%、英国では23%、フランスでは22%となっており、ブログの閲覧頻度も日本が1週間に4.54日と最も高くなっている。
 
図表3-2-4-4 インターネット利用目的の国際比較
図表3-2-4-4 インターネット利用目的の国際比較
総務省「ICT関連動向の国際比較調査」(平成21年)により作成
Excel形式のファイルはこちら
 
図表3-2-4-5 公開ブログ数の推移
図表3-2-4-5 公開ブログ数の推移
総務省情報通信政策研究所「ブログの実態に関する調査研究」(平成21年)により作成
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2009/2009-02.pdf
Excel形式のファイルはこちら
 
図表3-2-4-6 ブログ閲覧の比率と頻度(5か国比較)
図表3-2-4-6 ブログ閲覧の比率と頻度(5か国比較)
エデルマン・ジャパン「日本におけるブログ利用動向調査結果」(2007年)により作成

Excel形式のファイルはこちら

 このように、日本のインターネット利用はコミュニケーションを目的としたものが多いのが特徴であり、利用者発信型のソーシャルメディアの今後の成長が期待される。


10 The World Internet Project()によれば、2008年11月時点の調査において、日本の携帯インターネット利用率は47.5%となり、世界28か国中で1位となっている
11 米ブログ検索サービスTechnoratiによれば、2006年第4四半期において、同社が追跡している7,000万以上のブログの中で最も多かったのが日本語のブログであり、ブログ全体の37%を占めたとされている

 第2節 Collaboration:国民的課題を克服するための「協働」

テキスト形式のファイルはこちら

第1部第3章第2節4(1)「電子商取引」と「交通・物流」における情報通信システム・サービスの利用率 に戻る みんなでつくる情報通信白書コンテスト 一般の部 優秀賞受賞コラム 絵文字リテラシー に進む