平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第5章 情報通信政策の動向

(3)電気通信事業者間等の紛争処理

ア 電気通信事業紛争処理委員会の機能等
 電気通信事業紛争処理委員会(以下「委員会」という。)7は、電気通信事業者間の紛争を処理する専門組織として、平成13年11月に創設された。現在、平成19年11月に総務大臣により任命された委員5名及び特別委員8名が紛争処理に当たっている。
 委員会は、[1]あっせん及び仲裁手続の実施、[2]総務大臣の命令及び裁定等について諮問を受けて審議・答申を行うこと、[3]その権限に属せられた事項に関しルール整備等について総務大臣に必要な勧告を行うという3つの機能を有している(図表5-2-1-3)。
 
図表5-2-1-3 電気通信事業紛争処理委員会の機能の概要
図表5-2-1-3 電気通信事業紛争処理委員会の機能の概要

 また、委員会事務局に「電気通信事業者」相談窓口を設けて、接続その他電気通信事業者間のトラブル等に関する問合せ・相談等に対応している。

イ 委員会の所掌事務の拡大等
 委員会が行うあっせん・仲裁手続の対象は、従来電気通信事業者間の接続等に関する紛争であったが、平成20年4月1日より委員会は無線局の開設等に係るあっせん・仲裁制度の運用を開始した。また、無線局の免許人等と運用者との間の紛争が電気通信事業法に基づくあっせん・仲裁制度の対象に追加されるとともに、総務大臣による業務改善命令発動に際し、委員会に諮問される事例が拡大された。
 平成20年10月1日には、フェムトセル基地局の運用に係る紛争についても電気通信事業法に基づくあっせん・仲裁制度の対象となった。
 なお、情報通信審議会において、電気通信事業紛争処理委員会のあっせん・仲裁について、レイヤー間の紛争を含めた情報通信サービス全般における事業者間紛争へと対象を拡大する方向で検討がなされている。

ウ 電気通信事業紛争処理委員会が果たしている役割
 委員会は、これまで、大きく四つの役割を果たしてきた。
[1] 専門性を生かした迅速な紛争の解決
 あっせん事案では、これまで48件の事案を扱い、平均して約1か月半で処理を終え、約6割の事案を解決している。
[2] 紛争の発生の未然防止
 「電気通信事業者」相談窓口の助言により本格的に紛争化する前段階で解決した事例もある。また、過去の事例を委員会のウェブサイト等で積極的に公開し、類似の紛争防止に努めている。
[3] セイフティネットの機能
 電気通信事業者は他事業者との協議に当たり、紛争化した場合であっても、委員会という公正中立な第三者機関の場で自己の考え方を対等に主張できる機会が保障されている。
[4] 総務大臣への勧告を通じた競争ルールの改善
 勧告を通じ、我が国のブロードバンドサービスの競争促進や固定発携帯電話料金の低廉化、MVNOの発展等に貢献してきた。

エ 紛争処理等の状況
(ア)平成20年度末までの紛争処理件数
 委員会は、平成20年度末までに、あっせん事案を48件、仲裁事案を3件、諮問・答申案件を6件、勧告を3件実施している(図表5-2-1-4)。
 
図表5-2-1-4 紛争処理等の年度別件数
図表5-2-1-4 紛争処理等の年度別件数
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(イ)「電気通信事業者」相談窓口における相談等
 平成20年度に40件の相談、問い合わせ等を受けた。相談内容ごとの受付件数は、接続の諾否に関するものが20件と約5割を占めている。また、相談窓口における助言を踏まえ事業者間協議が行われ、複数の事案が解決された。
 なお、主な相談事例については、次のとおり。
・ダークファイバの接続拒否に関する相談
・債権保全措置に関する相談
・接続のための設備の事前確認試験に関する相談
・接続に関し提供した情報を他に流用されたことが疑われたとする相談
・ハウジング建物内の通信回線に関する相談


7 参考:電気通信事業紛争処理委員会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hunso/index.html

 第2節 情報通信政策の展開

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