平成21年版 情報通信白書

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第1部 特集 日本復活になぜ情報通信が必要なのか

第3章 日本復活へ向けた3つの挑戦

(4)国民ポータル(デンマーク)

●国民のニーズにきめ細やかに対応したオンラインワンストップの行政サービス
 デンマークでは、市民が日常生活やビジネス活動で利用しやすい公的デジタルソリューションの提供を目指し、国や各自治体で提供されていた電子行政サービスを統合し、ワンストップでアクセスできる「国民ポータル」(borger.dk)を2007年に立ち上げている。図表3-2-3-6はその入り口の画面であるが、2008年第1四半期の時点で、「国民ポータル」へのアクセスは1週間に10万以上を記録しており、前年比40%増となっている6
 
図表3-2-3-6 「borger.dk」のトップページ
図表3-2-3-6 「borger.dk」のトップページ
「borger.dk」のホームページを引用
https://www.borger.dk/Sider/default.aspx

 「国民ポータル」では、「高齢者」「海外居住デンマーク人」など、利用者層に向けた分野横断的なテーマを含む合計17のテーマ7を設定し、公的情報やサービスをきめ細かく提供している。ユーザーは居住地域を選択して、自分のニーズにあったテーマを選択し、自己申請等に必要な画面を呼び出した後、さらに自分に必要なサブテーマを選択して、手続等を進めるという仕組となっている(図表3-2-3-7)。
 
図表3-2-3-7 年金に関するメニュー(サブテーマの選択)
図表3-2-3-7 年金に関するメニュー(サブテーマの選択)
「borger.dk」のホームページを引用
https://www.borger.dk/Sider/default.aspx

 また、2008年10月に始まった「国民ポータル」の第2バージョンでは、個人のニーズに応じてサイトを編集できる「Min side(私のページ)」という機能が追加され、ユーザー一人ひとりのあらゆる行政への申請手続が一つの窓口に集約できるようになっている。
 国民ポータルの特徴としては、[1]「家族・子ども・青少年」「高齢者」「海外居住デンマーク人」「デンマーク在住外国人」など、行政サービスを利用する利用者層をターゲットとしたテーマ設定を行い、それぞれの利用者層のニーズに合わせた分野横断的な公的情報やサービスを提供していること、[2]行政ポータルとしては珍しく、利用者側で、自分がよく利用するテーマやサービスをカスタマイズし、申請手続を一括管理できる先進的な機能があること、が挙げられる。このような利用者目線に立った公的サービスの提供が、デンマークにおける公的分野の情報通信システム・サービスの利用を促進し、利活用弱者といわれる高齢者の高利用率につながっていると考えられる8


6 この取組が世界的に認知され、2007年11月に開催された国連のWorld Summit Awardsのe-government部門で国際連合情報社会世界サミット大賞を受賞している
7 [1]労働・雇用、[2]住居・引っ越し、[3]交通・旅行、[4]海外居住デンマーク人、[5]家族・子ども・青少年、[6]消費・お金・保険、[7]障害者、[8]文化・余暇、[9]環境・エネルギー、[10]年金、[11]警察・司法・弁護、[12]社会・権利、[13]学校・教育、[14]健康・病気、[15]デンマーク在住外国人、[16]高齢者、[17]経済・税金の17のテーマが設定されている
8 高齢者向けのテーマのサブテーマとして、相続・遺言、仕事、介護、旅行(日々の移動・旅行)、年金・退職などのサービスメニューが提供されている

 第2節 Collaboration:国民的課題を克服するための「協働」

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