平成21年版 情報通信白書

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第2部 情報通信の現況と政策動向

第5章 情報通信政策の動向

(3)電波利用環境の整備

ア 電波の人体・医療機器に与える影響に関する取組
 総務省では、電波の人体に対する影響に関し、人体の防護のため、電波の人体への影響に関する調査を行うとともに、この調査結果と国際ガイドラインを参考に、我が国に適用される電波の安全基準(電波防護指針)を定めている16。平成19年4月には、平成9年度から10年間にわたり開催された「生体電磁環境研究推進委員会」による最終報告書が取りまとめられており、当該報告書では、現在の電波防護指針の妥当性を認めるとともに、今後も科学的データの信頼性の向上を図り、電波の安全性評価に関する研究を進めていくことが重要であるとしている。これを受け、総務省は、引き続き、電波の安全性評価に関する研究を進めている。さらに、研究を進めるにあたっては、最新の国内外の動向等を踏まえて適切に対応していくことが重要であることから、電波による人体への影響に関する国内外の研究成果を評価・分析し、我が国が取り組むべき研究課題を抽出することにより、研究を促進するとともに、電波防護指針の評価・検証を行うことにより、国民が安心して安全に電波を利用できる社会を構築することを目的に、平成20年6月から「生体電磁環境に関する検討会」17を開催している。
 一方、近年、携帯電話サービスをはじめとする電波利用の拡大等により、電波利用が急速に発展し、日常生活に必要不可欠なものとなってきており、心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器への影響に対する関心が高まってきている。総務省は、平成12年度から「電波の医療機器等への影響に関する調査」を実施しており、調査結果に基づき「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」(平成17年8月制定、平成21年5月改訂)の見直しを行っている。

イ 不要電波対策
 各種電気・電子機器等の普及に伴い、無線利用が各種機器・設備から発せられる不要電波による電磁的な妨害を受けることが大きな問題となっている。
 総務省では、情報通信審議会の中に、CISPR委員会を設置し、CISPR(国際無線障害特別委員会:Comité International Spécial Perturbations Radioélectriques)における国際規格の審議に寄与するとともに、国内における規格化の審議を行いEMC(電磁両立性:Electromagnetic Compatibility)規格を策定している。

ウ 適切な電波の監視・監理及び正しい無線局運用の徹底

(ア)重要無線通信妨害への対応
 近年、電波利用の拡大とともに、電波の不適正な利用も増大し、電波利用に与える障害が多発している。
 このような状況を受け、総務省では、重要無線通信と位置付けられている電気通信事業用、放送業務用、人命・財産の保護用、治安維持用、気象業務用、電気事業用及び鉄道事業用の無線通信に対して、不法無線局等による電波障害が発生した場合には、これを排除するため直ちに不法無線局の探査等を行っている。

(イ)不法・違法無線局への対応
 総務省では、電波利用環境の維持に向けて、免許が必要な無線局でありながら免許を取得しないで開設、運用している不法無線局に対しては、これを探査し、告発するなど必要な措置を講じている。また、合法な無線局に対しては、発射する電波の質や無線局の運用が電波法令に適合しているか否かを監査し、違反があった無線局に対しては是正措置等を講じている。

(ウ)電波利用環境保護のための周知・啓発活動
 近年、不法無線局に使用されるおそれのある無線機が、一般国民にとって身近な販売店及びインターネットオークション等において流通・販売され、無線通信に妨害を与えるケースが増加している。総務省では、平成18年度から家電量販店等の電波利用機器を扱う販売店に対して、電波法及び電波利用ルールの周知・啓発を実施するとともに、インターネットバナー広告等を活用し、電波利用には免許が必要であること、無線機には技適マークが必要であること等の周知・啓発を実施している18



 第2節 情報通信政策の展開

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