平成11年版 通信白書

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第1章 特集 インターネット

(2)原材料調達

原材料調達システムの導入で、調達、製造、販売のスピードアップ

 業務の効率化や製造サイクルのスピードアップを図ることを目的として、近年インターネットを利用した原材料調達システムを導入する企業が増えてきている。
 米国ゼネラルエレクトリック社(GE:General Electric Co.)は、1996年、同社グループで開発したTPN(Trading Process Network)をGEライティング社(GE Lighting)(http://www.ge.com/lighting/)に試験導入した。GEライティング社は全世界に45の工場を保有し、調達担当者は各部署から毎日数百件にのぼる機材等の部品調達希望を受ける。TPNシステム導入以前は、担当者はそれぞれの仕様に合わせて200万枚以上の図面の中から必要なものを探し出し、入札候補企業に郵送していたため、大変な手間がかかっていた。そのため部品調達に必要な資料を発送するだけで最低でも7日間かかり、発注先決定まで3週間以上かかることも珍しくなかった。システム導入後は、各部署からの調達依頼がシステムを経由して届き、調達情報の作成や図面の送信も同じ画面上で行われるようになった。このシステムでは、部品供給の候補となる企業は発注作業開始後2時間以内に調達情報を受け、7日以内に入札することが可能である(図表)。
 米国商務省の「Emerging Digital Economy」によれば、このシステムの導入により、GEライティング社では、原材料調達事務のスタッフを60%削減、人件費を30%削減し、調達プロセスの所要日数が以前の18〜23日から、半分の9〜11日になった。また多数の供給元による入札により、有利な価格での調達が可能になり、原材料調達コストが5〜20%削減された。現在TPNは、企業間での原材料調達システムとして他社にも提供されている。
 我が国でもTCP/IPを用いた調達システムを導入する企業が出始めている。アサヒビールは、9年秋から原材料調達にエクストラネットを導入し、製缶・瓶、包装材、印刷メーカー等の原材料調達先企業とエクストラネットを構築し、受発注データを相互にやり取りしている。同社はこの原材料部門のほか、生産部門、物流部門、営業部門等とも情報を共有する全社一貫の情報共有基盤システムを構築しており、原材料調達システムはこのシステムの一環として位置付けられている。同社ではこの全社的システムにより、製造工程から出荷までの所要時間を最小限に減らすことを目標として、現在社内の効率化に取り組んでいるところである。

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