平成11年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

(3)アジア

一部の国では、通貨・経済危機の影響を受け、通信網整備計画に遅れ

 アジア諸国は1990年代において世界経済の成長軸として発展を遂げてきたが、電気通信はその不可欠のインフラと位置づけられて、自由化を伴いながら急速に成長してきた。しかしながら、1997年以来のアジア通貨・経済危機に際して、中国等では引き続き高い成長率を示しているのに対し、外資依存で電気通信網拡充を進めてきたインドネシア、タイ等では、通信網整備計画の見直しを迫られるなど明暗が分かれている。
 まず、1978年以降「改革・開放」政策を推進してきた中国についてみると、この20年間のGDP年平均成長率は約10%に達するなど高成長を続けている。こうした経済成長を社会資本の側面から支える重要な基盤として、通信インフラは、電力、交通などのインフラとともに政府主導の意欲的な政策によって近年急速に整備が進められている。加入電話回線数では既に日本を凌駕して米国に次いで世界第2位になるなどその進展は著しい(図表1))。また、携帯電話加入者数は1997年末には1,323万人であったが、爆発的な普及により1998年末には2,498万人と既に米国及び日本に次ぐ世界第3位の加入者数に到達しており、2000年までに4,000万人という政府目標の達成も充分視野に入った高成長を続けている。
 中国における通信政策は、現在第9次5か年計画(1996年〜2000年)の下で進められているが、当初計画を上回る普及により前倒しでの計画達成が確実となり、1998年2月には上方修正されるに至っている(図表2))。この目標が達成されれば2000年における携帯電話を含めた対人口電話普及率は、全国ベースで約13%、都市部においては約40%に達する見込みである。
 他のアジア主要国に目を転じ、1997年以来のアジア通貨・経済危機が情報通信基盤にかかる国家的整備計画等に与えた影響についてみると、シンガポールは、1997年以来のアジア通貨・経済危機の影響をさほど受けず、シンガポールワン計画が変更することなく推進されている。逆に、アジア通貨・経済危機の影響を強く受けた国々の対応には、ばらつきがみられる。例えば、インドネシアでは、これまで外資依存で電気通信網拡充を進めてきたものの、1997年以来の通貨・経済危機に伴う通貨下落から、外貨建て融資に依存してきた通信事業者の財務状況が悪化した上、外国からの通信機器の買入れが困難となり、通信網整備計画を遅らせている。ヌサンタラ21計画も、終了年が2001年から2004年に変更され、遅れが生じた。マレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)計画については、首相府の新行政都市への移転が遅れているものの、MSC地域を開発する会社(サイバービュー)への民間企業の参加を促進するために、これに対する政府出資比率を10%から65%に引上げるなど、計画を後押しする措置が講じられた。韓国は、苦しい財政事情にもかかわらず、ATM基盤超高速通信網構築計画を追加するなど、新たな措置を講じている。

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