平成11年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

(4)医療・保健・福祉分野

情報通信技術を利用した遠隔診療が普及

 情報通信技術の開発・普及は、情報通信を利用した映像により、患者の病状等を伝送し、遠隔地から診断、指示等の医療行為を行う、いわゆる遠隔診療の実用化を可能にした。こうした動きに対応して、厚生省では、9年12月、遠隔診療の適正な実施を期するために留意すべき点を定めた上で、これに該当する患者に対しては、遠隔診療によって直接の対面診療による場合と同等でないにしても、これに代替し得る程度の患者の心身に関する有用な情報が得られる場合には、直接の対面診療を原則とした医師法第20条等に直ちには抵触しないとの、健康政策局長名による各都道府県知事あての通知を発出した。
 平成9年度厚生省情報技術開発研究事業「医療情報の総合的推進に関する研究」調査結果(http://square.umin.u-tokyo.ac.jp/~enkaku/)によれば、我が国における進行中又は実験を完了した遠隔診療は、210事例となっている(図表)。このほか、国立病院においては、郵政省と連携してポスト・パートナーズ計画(アジア・太平洋地域の諸国とを衛星通信で結ぶ、教育、学術交流等の分野における衛星通信実験)の一環として、11年1月、国立国際医療センターとタイの病院を衛星通信で結び、遠隔診療を行う研究が実施された。
 一方、郵政省においては、地域・生活情報通信基盤高度化事業の一環として、自治体ネットワーク施設整備事業を展開し(3-6-2参照)、病院等を情報通信ネットワークで接続し、医療・保健・福祉分野のアプリケーションの開発・普及のための施設整備を行う地方公共団体を支援している。
 その中の一つ、葛尾村(http://www.fusion.isp.ntt.co.jp/katurao/)(福島県)では、10年6月から、村内全世帯と公共施設にテレビ電話が導入され、医療・保健・福祉分野に利用されている。葛尾村は、人口の約25%が65歳以上の高齢者で、特に医療に関しては、村の診療所に週に数回ずつ内科医と歯科医が巡回してくるだけの無医村であるため、民生委員や保健婦等が村内の老人の状況を把握したり、医療相談等にテレビ電話システムを有効に活用している。同年12月には、村内の30世帯に血圧、脈拍等のデータの測定等の機能を有した在宅端末装置が設置され、遠隔医療・在宅健康管理システムが稼働した。収集したデータは、診療所等の端末で医師が閲覧し、テレビ電話を利用して、医療相談を行うなど、村民の健康管理に役立てられている。

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