平成11年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第5節 情報通信高度化の環境整備

1 情報通信高度化の環境整備
(1)新たな社会問題への対応

電気通信サービスの不適正利用に係る対応策を検討

 インターネットの普及等、情報通信の高度化により、情報の受発信の範囲が飛躍的に広がるなど、利用者の利便性が向上する一方で、情報通信を不適正に利用し、誹謗・中傷、プライバシー侵害等のように他人の権利・利益を侵害したり、わいせつ情報、毒物の販売広告等の違法・有害なコンテンツを不特定多数又は多数の人の閲覧に供することが社会問題となっている。このような情報通信の不適正利用の傾向を示す一例として、郵政省が10年7月から10月まで受け付けた苦情をみると、インターネット利用者の増加を反映して、電子メール関係の不適正利用に関するものが多いことがわかる(図表)。
1)「情報通信の不適正利用と苦情対応の在り方に関する研究会」の開催
 郵政省では、10年7月から、情報通信の不適正利用の現状とこれに対する苦情の効果的解決を図る対応策等を検討するため、「情報通信の不適正利用と苦情対応の在り方に関する研究会」を開催した。
 同研究会では、不適正利用の対応策として、「1)情報通信に対する社会的なルールや自己防衛についての情報の周知、2)国及び電気通信事業者による被害防止等の不適正利用対応のための技術開発・導入、3)電気通信事業者による警告・不適正な情報の削除等の対応への支援・補完が必要」とする報告書を、11年2月に取りまとめた。さらに、同研究会は、発信者の氏名、住所等の発信者情報が法律上保護されていることにより、不適正利用を行った発信者の民事上の責任追及が困難になっている点を指摘した上で、発信者情報開示について検討を行い、報告書では「発信者情報開示については、その手続、要件、開示機関等について法的論点が多く指摘されており、今後、継続して検討することが必要」としている。
2)伝言サービスの不適正利用に対する対応
 また、10年12月から11年1月にかけて、伝言サービス(いわゆるボイスメールサービス)を通じて知り合った男性から睡眠薬を飲まされた女性が金品を奪われた上、死亡するという事件が発生した。これに対して郵政省は11年1月、(社)テレコムサービス協会に適切な措置を講ずるよう要請した。これを受けて、同協会では、同協会が策定したガイドラインに関する説明会を開催するなどの周知活動を行っているところである。
3)「国際情報提供サービス」に対する対応
 さらに、10年中には「アダルト番組を情報料無料で提供」などと称して、利用者が知らない間に国際電話に接続させ、高額の利用料金を請求するいわゆる「国際情報提供サービス」による被害が発生した。これに対して郵政省は、リーフレット等の配布により、利用者に対して注意喚起を行っているところである。


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