平成11年版 通信白書

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第1章 特集 インターネット

6 災害時の利用

インターネットの特性を生かして、被災者の安否情報をデータベース化

 インターネットは、震災のような大規模災害が起きた場合の情報ネットワークインフラとしても活用が期待されている。例えばインターネットを被災地からの情報提供に利用することは、1)ネットワークが分散管理型で形成されているため、一部に障害が発生した場合にも自動的に迂回路を経由して情報が伝達されること、2)単一の情報に多数の人がアクセスできることの2点において電話等の通信ネットワークよりも優れていると考えられる。
 7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、停電による交換機の停止や加入者回線の切断・焼失等により、最大時には30万回線を超える加入電話に障害が発生した。また、肉親等により住民の安否を問い合わせる電話が殺到したため、電話が非常にかかりにくい事態が発生した。一方、インターネットは1対1で接続される電話回線とは異なり回線障害の影響を受けにくいため、同じ神戸市内から発信された被害情報はインターネットを経由して全世界に配信された。
 このような経験を踏まえ、WIDEプロジェクトは、大規模災害が起こった際に被災地住民の安否情報をインターネットにより公開するシステムである生存者情報データベース(IAA-DB: 'I am alive' data base)の研究開発を行っている。(http://www.iaa.wide.ad.jp/)
 このシステムでは、まず、被災地において安否情報をウェブ等を利用して入力してもらう。その際、被災者の中にはパソコン等の操作に慣れていない人も多いと想定されるため電話やファクシミリ等でも安否情報を寄せてもらう。この安否情報はサーバを経由してインターネットで公開される。被災地では地上回線が切断されている可能性も高いので、衛星回線等も利用しながら全国のサーバに情報を発信する。各地に設置された安否情報のサーバは、お互いに情報を交換しながら、常に最新の情報を多数の情報検索者に同時に提供する。
 このシステムの実証実験を行うため、WIDEプロジェクトでは8年以降毎年1月と9月に災害訓練を行い、実際に多数の参加者に情報の入力や検索をしてもらいながら、システムの検証と改善を行っている。

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