平成11年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

(4)チャーン現象

若年層においてサービス種類の変更が多い

 移動体通信の個人市場が拡大し、機種・サービスの進化や価格競争が激化するにつれ、近年に特徴的な消費行動として、ポケベル(無線呼出し)からPHS、PHSから携帯電話などのサービス種類の変更、高品質や価格条件を求めた事業者変更などが見受けられる(図表1))。
 以前から長距離電話を始めとした一般世帯向け通信サービスの価格競争が激しかった米国では、解約を伴う加入者のサービス選択行動が「チャーン(Churn)」と呼ばれ、事業者にとっては、収益に影響を及ぼす重要な経営課題として捉えられている。我が国の移動体通信業界においても価格競争やサービスの多様化が急速に進み、1か月当たりのチャーン率(全加入者数に占める解約件数の割合(機種買換えを除く。))は各社3%前後と言われている。
「機器利用調査」によれば、携帯電話等(携帯電話又はPHS)保有者が事業者変更の際に重視した点としては、「通話エリアの広さ」が最も多い(図表2))。現在では通話エリア格差が解消されつつあるため、今後主に重視されるのは「端末価格や通話料金の安さ」、「端末のデザイン、軽さ、小ささなど」などと予想される。
 事業者におけるチャーン対策としては、直接的には長期契約割引の導入、文字メッセージサービス等の付加価値サービスの充実などが挙げられるが、他事業者の追従も可能なため、各社とも差別化を図りにくい状況にある。間接的・長期的にはブランドイメージの向上などの企業努力もチャーン防止につながると思われる。
 一方、利用者側から見たチャーンには、同一事業者内での機種買換えも含めて捉えられる(図表3))。「機器利用調査」により、移動体通信利用者におけるチャーン(機種の買換えを含む。)の現状について携帯電話を中心にみると、以下のとおりである。
 チャーン経験については、「サービス種類変更(ポケベルからPHS、PHSから携帯電話など)」が38.4%、「携帯電話の機種買換え(同一事業者内)」が47.2%と半数近くにのぼる一方、「携帯電話の事業者変更」については17.2%にとどまった。年代別にみると、15〜19歳及び20代のサービス種類の変更経験が群を抜いて多い(図表4))。
1)サービス種類の変更
 サービス種類変更は、ポケベルからPHS、ポケベルから携帯電話、PHSから携帯電話といった場合がほとんどであり、近年のポケベル及びPHSの加入者減少はサービス種類の変更によるところが大きいことを示唆している。年代別にみると、ポケベルからPHSへの変更は15〜19歳、ポケベルから携帯電話、PHSから携帯電話への変更は20代において顕著である(図表5))。
2)事業者の変更(携帯電話)
 携帯電話保有者の事業者変更について利用期間別にみると、変更経験は利用期間3年以上の利用者で36.4%にのぼり、変更意向は利用期間半年以上1年未満の利用者(29.4%)に最も多い(図表6))。
3)機種の買換え(携帯電話)
 携帯電話の機種買換え経験について利用期間別にみると、利用期間3年以上では変更経験者が85.2%にも達している。利用期間半年以上1年未満では1割程度だが、1年以上2年未満になると5割近くまで急上昇しており、1年を過ぎた頃が買換えを考え始める時期と推察される(図表7))。また、この時期は事業者変更の意向が強まる時期と一致している。
 事業者側では、機種買換えは新機種や新サービスが市場投入されると同時に増える傾向にあり、機種買換えと同時に事業者変更も行われる可能性が高くなると説明している。また、消費者の端末の選択基準は、100g以下の端末が一般化するにつれて、端末の重さから、色・デザインなどファッション性を重視する方向へと変化しているようである。

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