平成11年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 インターネット

3 教育
(1)小・中・高等学校

授業以外にも、学校と家庭間の連絡等、さまざまな用途へと利用が拡大

1)江東区立南砂東小学校(東京都)の事例
 江東区立南砂東小学校(http://www4.justnet.ne.jp/~higashi_syo2/)では、昭和62年9月にコンピュータ室を設置し、授業へのコンピュータ利用を開始した。8年11月には、こねっとプラン(http://www. wnn.or.jp/wnn-s/konetplan/)参加校となり、インターネットへの接続が実現した。指導の重点としては、インターネット活用の推進と指導法の改善による、情報の主体的選択、活用、発信する能力や態度の養成を掲げ、高学年で週2、3回程度、インターネットを使った授業を行っている。
 同校のインターネットを利用した教育の特徴は、環境教育及び他校との交流授業を積極的に展開している点である。10年度、5年生の授業では、稲作と農薬をテーマに、七尾市立徳田小学校(石川県)及び鳥取市立賀露小学校との交流授業を実施し、互いにホームページを作成し、掲示板に自分の意見を送信するとともに、テレビ会議システムを併用して議論を進める手法を採用した。
 同校では、これまでの成果として、外部との関わりの薄い学校にあって、インターネットを通じて生活環境の異なる地域との交流が生まれ、児童の見方・考え方が拡がった点を挙げている。

2)石和町立石和中学校(山梨県)及び山梨県立巨摩高等学校の事例
 山梨県では、8年度からの3か年計画で、県内の中学校2校及び高等学校3校の合計5校を選定し、姉妹州県である米国アイオワ州の中学校2校及び高等学校3校との間で、インターネットを利用した国際交流実験(アイオワプロジェクト)を実施した。実験校では、各校独自にネットワーク構築、パソコン配備等のインターネット利用環境を整備し、参加する生徒及び指導教師が、電子メールを利用して、相手校と、交流の方法、意見交換のテーマ等を相談する段階からプロジェクトに取り組んだ。
 実験校の一つ、石和町立石和中学校(http://www.isawa-jhs.isawa.yamanashi.jp/)では、プロジェクト開始に当たり、校内LANを構築し、合計21台のパソコンを設置した。9年度までは、校則、制服、テレビ番組、食生活等の身近な話題をはじめ、米国の銃器所持の問題等をテーマに電子メールで意見を交換し、最終年度である10年度は、学年末にアイオワ州へのホームステイが決まっていた生徒10名が中心となって、ホームステイ先の家族と電子メールによる事前交流を行った。
 また、同校では、インターネットをうまく学校にとけ込めない生徒への指導に活用している。登校はするものの教室までは行けない生徒が、カウンセリング室等に設置されたパソコンを使って、カウンセラーに電子メールで相談を受けたり、自由にインターネットを利用できるようにしている。こうしたことから生徒の関心を学校に向けさせ、徐々に環境に適応させる効果が期待できるという。
 同じく実験校の一つ、山梨県立巨摩高等学校(http://www.ypec.misaka.yamanashi.jp/koma/)では、本プロジェクトでの成果を踏まえ、11年度から英語等の授業にインターネットを利用することとし、専門教室にパソコン41台を設置するなど、本格的な環境整備を行った。同校は、この設備を地域住民へも開放する予定で、同校教師が講師を務める高齢者向けのインターネット教室を開設し、生涯学習の場として活用する計画であるという。
3)立正中学校・高等学校(東京都)の事例
 立正中学校・高等学校(http://www.rissho-hs.ac.jp/)では、8年10月から、二つの普通教室を含む無線LANを構築し、インターネットを利用した教育を行っている。同校では、1人1台のノートパソコンを使用して、インターネット経由で新聞社の記事データベースからの配信を受け、時事問題等を学習するなどの授業を行っている。また、コンピュータ専門教室には、インターネットに接続したデスクトップパソコン50台を設置し、生徒が自由にインターネットを利用できる環境を整備している。
 さらに同校のインターネット利用の特徴として、学校と家庭の間の連絡手段としてもインターネットを利用している点が挙げられる。具体的には、30家庭で、パソコンの代わりに家庭のテレビからインターネットにアクセスできる「WebTV」を導入し、学校から週1回送信する学年通信を受け取ってもらうシステム(図表)で、10年11月から実験中である。これまでの生徒を介した印刷物による配布では、必ずしも父母に届かない場合もあるが、インターネットの利用で、確実に父母の元に情報が届くことや、父母同士の情報交換へも利用が拡がるなど、効果を挙げてきているという。また、既にメールアドレスを有する父母にも、学年通信の配信を開始したことで、どちらかというと学校とは疎遠であった父親から好評とのことである。同校では、担任教師と父母の間の連絡手段としてインターネットを活用すること等も検討している。

B1431001.gif

B1431002.gif

 

(5) 行政参加・情報交換 に戻る (2) 大学 に進む