総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > ICTが経済成長をけん引する2つの道筋
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 ICTが導く成長への道筋

2 ICTが経済成長をけん引する2つの道筋


 ICTが直接的に経済成長をけん引する効果としては、大別して以下の2つのルートが挙げられるだろう。
  ①ICT産業の生産・雇用誘発等による経済けん引力の強化
 通信事業、通信機器(インフラ、端末など)、アプリケーション・コンテンツなどで構成されるICT産業は、依然我が国の国内生産の約1割を占め、さらに生産誘発、雇用誘発を通じて我が国経済をけん引している。一般消費者の通信需要のみならず、後に述べる各部門のICT実装により、需要が拡大すれば、ICT産業内の投資や技術革新を誘発し、ICT産業のけん引力をさらに拡大することになる。また、米国のネット系企業に代表されるように、イノベーションの激しいICT産業は新事業創出の高い潜在力を有している。
  ②ICTユーザー企業など各部門へのICT実装強化によるサービス革新・生産性向上
 ICTのイノベーションは、様々な製品やサービスと融合して、革新的な製品、サービスを生み出すことができる。例えば、コマツがすべての重機をネットワークで結ぶことにより、それらの稼働状況をリアルタイムで把握し、競合他社との間の競争力強化に役立てたことなどは、その典型といえよう。それにより、各ユーザー企業は、その競争力を強化し、新たな顧客を国内外で獲得し、その製品・サービスからより高い付加価値を生み出すことができる。また、ICT投資により、製品の生産過程やサービス提供過程が合理化され、コスト削減やより短期間で多くの製品・サービスを生産可能にすることで、労働生産性の向上につながっている。
 なお、ICT産業の成長は、そのイノベーション誘発力の向上としてICT利用部門の成長に貢献し、ICT利用部門のICT投資の拡大は、ICT産業への需要創出を通じてICT産業の成長につながる。さらにその相乗効果は、それぞれの国際競争力の強化につながり、縮小傾向の国内市場に対して大きく拡大しつつある新興国を中心とする海外への製品・サービス輸出や投資を通じて我が国の経済成長につながっていく。
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