総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > ユビキタスネットワーク環境の完成に伴う新たな潮流 ―スマート化― と「スマート革命」
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 「スマート革命」 ―ICTのパラダイム転換―

(3)ユビキタスネットワーク環境の完成に伴う新たな潮流 −スマート化− と「スマート革命」


 上記のインターネットの社会基盤化は、ネットワーク上に流通・蓄積されるデジタル情報の爆発的な増大をもたらしつつある。また、ユビキタスネットワーク環境の完成、とりわけクラウド、ソーシャル、高機能化した端末(スマートフォン・タブレット端末)により、ネットワークを構成する各レイヤーが情報の分析・活用能力を備え、それを拡大しつつある。その結果、ネットワーク・サービスの運用主体を含めた利用企業等は、多種多量のデータ(ビッグデータ)の生成・収集・蓄積が可能・容易になり、その分析・活用による異変の察知や近未来の予測等を通じ、利用者個々のニーズに即したサービスの提供、業務運営の効率化等が可能になるとともに、ビッグデータの活用による新産業の創出も期待されている。

 例えば、事業活動においては、ビッグデータの分析・活用により以下のような効用を通じて事業の効率的な実施が期待されている。
 ・製品開発:どのような製品を開発することが消費者に対して訴求するかがわかる。
 ・販売促進:誰に、何を、いつ売ればよいのかがわかる。
 ・保守・メンテナンス・サポート:いつ、どのようなメンテナンスを行えばよいかがわかる。
 ・コンプライアンス:不正の予兆や、特に注視するべき事象が何であるかがわかる。
 ・業務基盤・社会インフラの運用:全般的な性能向上・コスト削減が実現される。

 ビッグデータ活用は、既に各種オンラインショッピングサイトにおける利用者の購買履歴に応じたレコメンド表示など具体化しつつある。現在、エネルギーの効率的利用等の観点から注目を集めているスマートグリッドも、社会インフラ運用におけるビッグデータ活用の一類型であるといえよう。

図表2-1-1-4 デジタルデータの成長と「ビッグデータ」の定量的価値
図表2-1-1-4 デジタルデータの成長と「ビッグデータ」の定量的価値の図
(出典)情報通信審議会ICT基本戦略ボード資料(「2011 Digital Universe Study:Extracting Value from Chaos」(IDC/2011.6),「Big data:The next frontier for innovation,competition,and productivity」(McKinsey Global Institute/2011.5)により作成)

 このように、ユビキタスネットワーク環境において、多種多量の情報の流通・蓄積とその分析・活用が進展することにより、ICTネットワーク・サービスは新たな付加価値が創造される知識創造基盤となり、第1章で詳細に分析したICTがもたらす成長への2つの道筋、すなわち企業・家計・政府が生産性向上その他様々な課題解決の原動力としての役割と、アプリケーションサービス、通信サービス、機器製造などICT産業の裾野の広い生産・雇用創造の役割双方が飛躍的に強化されることが見込まれる。いわば、ユビキタスネットワーク環境と「スマート化」の融合が、「スマート革命」ともいえるICTの新たな革新をもたらし、成長のエンジンとしてのICT、万能ツールとしてのICTの機能を強化しつつ、我が国の社会経済活動全体の風景を変える可能性を秘めているといえよう。

図表2-1-1-5 「スマート革命」のイメージ
図表2-1-1-5 「スマート革命」のイメージの図
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