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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 デジタルネットワーク完成が導くメディア新展開

(4)各メディアの評価


 以下、上記(1)ウに示した分析枠組に基づき、各情報メディアの社会的影響力について分析を行う。

ア 各メディアの評価(複数回答に基づく分析)
 まず、分析アプローチ1の結果に基づき、評価項目ごとにグラフ化したものが図表2-3-3-6である。傾向として、「情報源としての重視度」と「役立ち度」は比較的類似する関係にある。「楽しみとしての重視度」と「話題」も比較的類似している。
 また、「信頼度」については、情報発信の主体(報道機関か否か)によって、二極化する傾向にある。

図表2-3-3-6 評価指標別のメディア評価
図表2-3-3-6 評価指標別のメディア評価のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

イ 各メディアの現在の評価(単一回答に基づく分析)
 次に、分析アプローチ2の結果に基づき、各評価指標で最も高いメディアとしての回答の比率を示したのが図表2-3-3-7である。いずれの評価指標においても、「テレビ」への評価が突出している。また、「信頼度」については、「新聞・雑誌」の評価がテレビに次いで非常に高いことが見て取れる。
 インターネットは、「楽しみとしての重視度」、「役立ち度」において、他の指標と比べ評価が高い。その内訳をみると、前者は「その他一般の映像サイト」、後者は「報道/映像サイト」が比較的高い結果となっている。

図表2-3-3-7 各評価指標で最も高いメディア(全体像)
図表2-3-3-7 各評価指標で最も高いメディア(全体像)のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 この結果を、回答者の年代別、居住地域規模別の軸でセグメント化した結果が図表2-3-3-8図表2-3-3-10である。年代別の結果をみると、「情報源としての重視度」については、テレビの評価が全般的に高い中で、10〜20代はインターネット、50代〜60代は新聞・雑誌の評価が高い。また、「楽しみとしての重視度」については、10〜20代のインターネット、特に「その他一般の映像サイト」と「ソーシャルメディア」の評価が他年代と比較して非常に高い。このように、10〜20代については、インターネット系メディアへの評価の高さが見て取れる。
 他方、居住地域規模別の結果をみると、「情報源としての重視度」については、町村居住者のラジオへの評価がやや高い傾向にあり、「楽しみとしての重視度」については、町村居住者の報道/文字サイトへの評価がやや低い点がみて取れるが、年代別ほどの違いは生じていない。

図表2-3-3-8 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)①
図表2-3-3-8 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)①のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 「信頼度」は、重視度と比べて年代の差は大きくないが、若年層ほどインターネットへの信頼度が高まる傾向にあり、50〜60代はラジオ、新聞・雑誌の信頼度が高い傾向にある。また、「役立ち度」も、「信頼度」と同様に若年層ほどインターネットへの評価が高い。
 居住地域規模別では、「信頼度」、「役立ち度」いずれも、都市から町村へ、テレビの評価がより高まる傾向にある。

図表2-3-3-9 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)②
図表2-3-3-9 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)②のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 「話題性」については、各年代とも、「楽しみとしての重視度」と傾向が類似している。居住地域規模別では、インターネット全体としての評価は、居住地域の違いには依存していないことが見て取れる。

図表2-3-3-10 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)③
図表2-3-3-10 各評価指標で最も高いメディア(セグメント別)③のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

ウ 経年で最も評価が上がったメディア(単一回答に基づく分析)
 各メディアの評価の過去3年間の変化について、分析アプローチ2の結果に基づき、評価指標ごとに最も評価が上がったメディアとしての回答率を示したのが図表2-3-3-11である。各評価指標とも、インターネット関係以外のメディア(テレビ、ラジオ、新聞・雑誌)が半数を占めている。インターネットで最も変化が上がった評価指標は「役立ち度」であり、内訳としては、いずれの評価指標においても、「報道/文字サイト」の比率が最も高い。

図表2-3-3-11 経年で最も評価が上がったメディア(全体像)
図表2-3-3-11 経年で最も評価が上がったメディア(全体像)のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 この結果を、回答者の年代別、居住地域規模別の軸でセグメント化した結果が図表2-3-3-12図表2-3-3-14である。「重視度(情報源、楽しみ)」については、10〜20代の半数以上がインターネット関係を最も評価が上がったメディアと回答している。とりわけ、ソーシャルメディアの占める割合が高い。他方、居住地域規模別については、地域規模による差は限定的であり、インターネットの位置付けの変化は居住地域規模には依存していないものと考えられる。

図表2-3-3-12 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)①
図表2-3-3-12 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)①のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 「信頼度」については、10〜40代の約40%が、インターネット関係を最も評価が上がったメディアとする一方で、50〜60代は約20%にとどまっている。居住地域規模別では、町村居住者のインターネットの位置付けがやや高い傾向にある。なお、「役立ち度」の変化におけるインターネットの位置付けは、「楽しみとしての重視度」と近い傾向にある。

図表2-3-3-13 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)②
図表2-3-3-13 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)②のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 「話題性」についても、10〜20代の半数以上(61%)がインターネット関係を最も評価が上がったメディアと回答している。とりわけソーシャルメディアの占める割合が高い。なお、居住地域規模別については、大きな特徴の違いはみられない。

図表2-3-3-14 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)③
図表2-3-3-14 経年で最も評価が上がったメディア(セグメント別)③のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

エ 各メディアの評価指標総合比較(複数回答に基づく分析)
 本項では、分析アプローチ1の結果に基づき、各メディアの利用者のうち各評価指標についてプラス評価をしている回答者の比率をレーダーチャート化して、情報発信源による違い及び媒体形式・伝送手段による違いを分析する。
 まず、情報発信源による違いをみるため、映像系メディアとして「テレビ」と「その他の一般映像サイト」(動画配信・動画共有サービス(YouTube・ニコニコ動画等)を例示)、文書系メディアとして「新聞・雑誌」と「ソーシャルメディア」(ミクシィ、グリー、Facebook、Twitter等を例示)を取り上げ、比較したものが図表2-3-3-15である。
 これをみると、映像系、文書系いずれも、「楽しみとしての重視度」、「話題性」については、評価の差が縮小している傾向が見て取れる。また、テレビ・新聞・雑誌、その他一般映像サイト・ソーシャルメディアの体系は、それぞれ類似している傾向にある。

図表2-3-3-15 各メディアの評価指標総合比較(情報発信源別)①
図表2-3-3-15 各メディアの評価指標総合比較(情報発信源別)①のグラフ
※は回答者(無回答を除く)に占める当該メディアの利用者の比率(以下同じ)
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 これをさらに年代別にみると、映像系、文書系いずれも、これまでの分析と同様、10〜20代は全般的に評価の格差が縮小する傾向にある。特に、文書系メディアについては、10〜20代は、「楽しみとしての重視度」、「話題性」の項目でソーシャルメディアが新聞・雑誌の評価を上回っている点が特徴的である。

図表2-3-3-16 各メディアの評価指標総合比較(情報発信源別)②
図表2-3-3-16 各メディアの評価指標総合比較(情報発信源別)②のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

 次に、報道関係を情報発信源とするメディアに関し、媒体形式(映像系ないし文書系)及び伝送手段(従来型ないしインターネット)について、「テレビ」と「報道/映像サイト」、「新聞・雑誌」と「報道/文字サイト」をそれぞれ比較し、年代別比較も含めレーダーチャート化したのが、図表2-3-3-17である。映像メディアでは、テレビの評価が報道/映像サイトの評価を大きく上回っており、年代別比較でも、10〜20代における差が若干縮小しているものの、大きな傾向の違いはない。他方、文書系メディアでみると、全体でみても新聞・雑誌と報道/文字サイトに差は縮小にあり、年代別でみると、10〜20代においては、「信頼度」以外は評価の水準がほぼ一致しており、他の年代でも両者の評価は近似している。

図表2-3-3-17 各メディアの評価指標総合比較(媒体形式・伝送手段別)
図表2-3-3-17 各メディアの評価指標総合比較(媒体形式・伝送手段別)のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)

オ 各メディアの評価指標総合比較(各評価指標と変化の関係)
 最後に、各メディアの利用率、各評価指標の現在評価と過去3年間の変化について総合的にグラフ化したのが図表2-3-3-18である。本グラフは、各評価指標に係る現在評価(5段階評価)及び過去3年間の変化(「上がった」及び「下がった」の回答率の差)を偏差値へ換算し、それぞれ横軸・縦軸にプロットしたものである。従って、各メディアの位置付けを相対的に比較することができる。
 まず、「情報源としての重視度」については、報道/文字サイトの評価の水準が四大メディア(テレビ、ラジオ、新聞・雑誌)に近く、また評価が最も上がっている。「楽しみとしての重視度」については、とりわけテレビの評価が高いが、「ソーシャルメディア」「その他一般映像サイト」の変化が最も高く、今後も推移が注目される。
 「信頼度」については、各メディアの位置付けがやや分散しているが、新聞・雑誌と報道/文字サイトの関係を踏まえれば、報道機関をはじめ情報発信主体が同種のメディアは、伝送手段を問わず、評価が同水準に近づくとも考えられる。また、「役立ち度」は、報道/文字サイトが現在評価及び過去3年間の変化ともに高く、今後の推移が注目される。
 「話題性」については、「ソーシャルメディア」「その他一般映像サイト」がテレビ、新聞・雑誌と現在評価でも水準が近く、変化率も高いため、今後両者の評価が近づくものと推察される。

図表2-3-3-18 各メディアの評価指標総合比較(各評価指標と変化の関係)
図表2-3-3-18 各メディアの評価指標総合比較(各評価指標と変化の関係)のグラフ
(出典)総務省「ICT基盤・サービスの高度化に伴う利用者意識の変化等に関する調査研究」(平成24年)
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