総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 生産関数分析(国際比較)による推計
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTイノベーションによる「課題解決力」の実証

3 国際比較でみた情報資本の蓄積による成長効果の実証


(1)生産関数分析(国際比較)による推計

 ここでは、生産関数分析について、国際的な比較を実施する。具体的には、EU-KLEMS6のデータを用いて、1985年(昭和60年)〜2007年(平成19年)までのデータを基に日本、オーストラリア、ドイツ、英国、米国について分析を行った7
 すると、すべての国で、資本設備の情報化要因が労働生産性の上昇に対して一定のプラスの効果を発揮していることがわかる(図表1-4-3-1)。しかしながら、日本においては、資本設備の情報化要因が労働生産性の上昇率に寄与する程度が、2002年(平成14年)〜2004年(平成16年)が34.1%、2005年(平成17年)〜2006年(平成18年)は23.7%と2000年(平成12年)以降低下トレンドにある。一方、そのほかの国は、2000年(平成12年)以降もおおむね横這いか増加傾向にあり、諸外国と比較して、我が国の情報化投資の低調さが、労働生産性の減速に影響していることがわかる。

図表1-4-3-1 労働生産性変化率の要因分解(国際比較)
図表1-4-3-1 労働生産性変化率の要因分解(国際比較)のグラフ
※EU-KLEMSのデータ制約のため、日本は2006年までの数値となっている。また、ドイツは統一後の数値である。
(出典)総務省「ICTが成長に与える効果に関する調査研究」(平成24年)


6 「EU-KLEMS」とは、欧州連合(EU)を中心に立ち上げられたプロジェクトであり、資本、労働等各分野でのアウトプットとインプットに関する情報に基づきTFPを測定する各国共通のデータベースが作成され、TFP上昇や成長要因の分析が行われている。
7 対象国については、最新のEU-KLEMSデータに情報資本ストックデータ等が公表されているオーストラリア、オーストリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、日本、オランダ、スロベニア、スペイン、スウェーデン、英国、米国のうち、生産関数モデルの推計において、理論モデルが想定する符号条件、パラメータ条件等を満たした、日本、米国、英国、ドイツ、オーストラリアを分析対象とした。なお、EU-KLEMSのデータ制約のため、日本は2006年までの数値となっている。また、ドイツは統一後の数値を用いている。
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