総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 個人情報の取扱い・高齢者配慮
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 東日本大震災が情報行動に与えた影響

(5)個人情報の取扱い・高齢者配慮


ア 個人情報の取扱い
 被災地域における個人情報の取扱いについて、住民側の評価をみると、86.7%と高い割合の人が個人情報の取り扱いに特に問題を感じなかったと回答している。個人情報が不要に開示されているという評価をしているのは5.1%にとどまった(図表3-1-1-19)。具体的なインタビューコメントをみると、「個人情報を出さないことが問題だった。」「命を守ることが第一であり、個人情報保護はその後で考えること。命を守るためなら、個人情報はしっかり提供すべきである。」といったような個人情報の提供に対して積極的な意識がみられた。

図表3-1-1-19 個人情報の取扱いに関する評価とコメント
図表3-1-1-19 個人情報の取扱いに関する評価とコメントのグラフ
(出典)総務省「災害時における情報通信の在り方に関する調査」(平成24年)

 一方、自治体側では45.5%が個人情報の収集・開示等の具体的な運用で苦労したと回答している。具体的なコメントをみると、「情報を集めるときに個人情報をどこまで公開するか、正確に番地まで出すかなど躊躇した。」「一時期、行政のホームページで安否情報を公開していたが、個人情報保護の観点から中止し、問い合わせがあった場
合、本人の承諾を得てから照会元に通知するようにした。」など、個人情報の提供などの必要性を理解しつつも、実際の取扱いに苦労したという意見がみられた。
 特に問題を感じなかった住民側と対応に苦労した自治体側との間には意識の違いがみられた。震災等の緊急時における個人情報の取扱いについて、迅速な対応の実施と行政事務の円滑化の観点から、具体的な運用面のルールや基準等の整理の必要性が示唆されている。

イ 高齢者配慮
 東日本大震災の被災者には多くの高齢者が含まれていたが、情報伝達等に関して、高齢者配慮がどのようになされたのかをインタビューコメントからみると、「特に工夫はしていない」が過半数の67.7%を占めているものの、「高齢者の多い避難所では、必ず紙による情報の配布を行った。」など紙による配布が22.2%、「市外の避難者に広報誌、災害等の参考・関係資料を束ねてメール便で月2回送付している。ホームページでも同じ情報を提供している。」など複数の手段を使った情報提供が8.1%となるなど、一部では高齢者への配慮が行われていたことがわかる(図表3-1-1-20)。また、高齢者に望ましいICT環境については、「高齢者でも扱えるワンタッチボタンのもの。」「タブレット的なものでないといけない。」など、操作が容易な携帯電話、サイネージ、タブレット端末等が指摘されている。

図表3-1-1-20 高齢者配慮の工夫と具体例
図表3-1-1-20 高齢者配慮の工夫と具体例のグラフ
(出典)総務省「災害時における情報通信の在り方に関する調査」(平成24年)
テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る