総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > ICT投資・利活用による成長実現に向けて
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTイノベーションによる「課題解決力」の実証

5 ICT投資・利活用による成長実現に向けて


 ICT資本による成長経路には、その蓄積そのものが直接成長をもたらす「直接効果」を通じた経路と、ICT資本の蓄積によるTFPの向上を通じた成長の実現という「間接効果」を通じた経路の2つが存在すると考えられる。我が国については、この両面について課題に直面していることがうかがえる。
 特に、90年代以降の大きなトレンドをみると、米国においては、ICT投資とTFPの双方が伸びており、TFP上昇を通じて資本収益率の上昇を生み出し、さらなるICT投資を生み出す好循環を構成していると考えられる。一方、我が国においては、米国ほどのTFP上昇はみられず、TFP上昇を伴わないICT投資が行われた結果資本収益率の減少を通じて、ICT投資の減少という悪循環を招いているものと推察される。その結果、ICT投資の停滞により、本来享受できたであろう成長を得られていない可能性があると考えられる。
 今後、成長を考える上で、特に、労働力の減少を補うため、投資の加速とTFPの上昇の両面がなされる必要があり、ICT投資単体ではなく、ICT投資とICT利活用によるTFP成長のセットでの加速が求められる。では、ICT投資やICT利活用を成長に結びつける要件は何か、次の企業アンケート分析によりみていくこととする。
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