総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 地上デジタルテレビ放送完全移行の実現
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 デジタルネットワーク完成が導くメディア新展開

1 地上デジタルテレビ放送完全移行と放送メディアの新展開


(1)地上デジタルテレビ放送完全移行の実現
 地上デジタル放送は、平成15年12月に関東・中京・近畿の三大広域圏で、平成18年12月には全国で放送が開始された。その後、平成23年7月24日に、東日本大震災により甚大な被害を受けた岩手、宮城及び福島の東北3県を除く44都道府県で地上アナログ放送が終了し、平成24年3月31日には、東北3県においても地上アナログ放送が終了、全国における地上デジタル放送への移行が完了した。総務省においては、地上デジタル放送への完全移行の実現に向けて、各政府機関、地方公共団体、放送事業者、メーカーその他あらゆる関係者と一体となって、国民視聴者各位の協力を得て取組を推進してきた。具体的には、受信環境の整備を進めるため、アナログ周波数変更対策に始まり、デジタル中継局整備やケーブルテレビ加入者に対するデジアナ変換サービスへの支援等を実施した。また、国民からの相談にきめ細かく対応するため、「総務省デジタル受信者支援センター(デジサポ)」を平成21年2月に全都道府県に設置し、視聴者からの受信不良等の相談に、直接訪問も含めて丁寧に対応するなど、相談体制の強化に努めてきたところである。
 また、地上デジタル放送への移行により、地上アナログテレビ放送は個別受信アンテナで受信できている地域であって、地理的な条件等により地上デジタルテレビ放送が個別受信アンテナで受信できない世帯(新たな難視)が発生し、調査の結果、全国で27.9万世帯(14,119地区)が特定された。総務省では、地区ごとに、地方公共団体及び地域住民と対策手法を調整し、アナログ放送停波までに対策が間に合わない場合には、暫定的に衛星放送による対策を実施した。暫定的な衛星放送による対策は、現在11.1万世帯が視聴しているが、総務省ではさらに対策を続け、平成27年3月までに当該対策を終了する予定である。
 他方、受信機の普及促進については、エコポイントによるデジタルテレビ購入支援や経済的弱者に対するチューナーの購入支援等の支援を行ってきた。その結果、受信機の出荷台数は、東北被災3県以外の地域での停波直前の平成23年6月末時点で1億2,218万台、地上デジタル放送完全移行時の当初目標の124.7%増となった。また、受信環境の整備についても、100%ないしそれと同視できる水準まで達することができた(図表2-3-1-2)。

図表2-3-1-1 地上テレビ放送の完全デジタル移行の経緯
図表2-3-1-1 地上テレビ放送の完全デジタル移行の経緯の図

図表2-3-1-2 地上デジタル放送完全移行に向けた対策結果(概要)
図表2-3-1-2 地上デジタル放送完全移行に向けた対策結果(概要)の表

 なお、地上デジタル放送完全移行の最終局面では、デジサポや臨時相談コーナー(全国約1,600箇所)のみならず、多くの団体の方々(ボーイスカウト、母親クラブ、地方公共団体等関係者、ボランティア団体、民生委員、コンビニエンスストア等)にボランティアで地上デジタル放送対応を視聴者の方に促す声かけ・念押しや資料の配布に協力していただいた。地上デジタル放送への完全移行の実現は、このような幅広い国民各層の「草の根」の協力により支えられていたことを忘れてはならない。
 地上デジタル放送の完全移行により、我が国の放送メディアは、おおむねデジタル化が完了し、通信・放送の融合・連携型サービスとの親和性の高いデジタルネットワークをどう活用するかという時代を迎えたといえよう。
 今後は、アナログ放送を終了後のフォローアップとして①コールセンターを順次縮小して継続しつつ、②デジサポによる戸別訪問を行うとともに、地理的な条件等により地上デジタル放送が個別受信アンテナで受信できない地区(新たな難視地区)への恒久対策の実施や地上アナログ放送停波後のチャンネル周波数変更等の継続など、必要な環境整備や支援を行っていくこととしている。
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