総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 主要ICT国際指標の傾向
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 ICT国際展開がけん引する成長のポテンシャル

1 ICT国際指標分析


(1)主要ICT国際指標の傾向

 我が国ICT分野での国際的な状況を把握するため、各種機関が公表しているICT関係の国際指標を経年で概観すると、我が国は、主要ICT指標において、軒並み15位前後以下となっている(図表1-3-1-1)。例えば、ITUのICT開発指標は13位、EIUのIT産業競争力指標は16位であるが、いずれも2007年(平成19年)(それぞれ2位、7位)から大幅に低下している。また、世界経済フォーラム(WEF)のICT競争力ランキングは2011年(平成23年)の19位からは上昇したものの18位(2012年(平成24年))にとどまっている。

図表1-3-1-1 主要ICT国際指標のランキング推移
図表1-3-1-1 主要ICT国際指標のランキング推移のグラフ
※各機関については以下のとおり。
・ITU(International Telecommunication Union):国際電気通信連合、国際連合の傘下の情報通信の専門機関
・EIU(The Economist Intelligence Unit):英国の国際経済誌「The Economist」グループの傘下のコンサルティング機関
・WEF(World Economic Forum):世界経済フォーラム、通称ダボス会議
各種資料により作成

 このような国際指標の比較においては、ICTの普及及び利活用面で進んでいる北欧諸国が上位に位置していることが多いが、北欧諸国と我が国とは、取り巻く社会環境や経済状況など大きく異なり、単純な比較はできないとの考え方もある。しかし、我が国を含めた主要6か国(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国)について抜き出して順位をみると、ITUのICT開発指標が3位である以外は、すべて6か国中4位以下となっている。
 このように、主要ICT指標において、我が国の評価は停滞している。そこで、主要国国際指標や民間調査のどの部分で日本が低位に位置付けられているのか、その原因はどこにあるのかを分析した。手法としては、我が国のICTインフラの普及、投資、利活用の進展の状況や特徴を、過去の時系列データの分析並びに諸外国との相互比較等により整理した。また、ICTインフラの整備や利活用の推進等を背景として実現される成果やビジネスを創造する環境としての能力にも着目し、起業化指数、消費者洗練度など、幅広い観点から分析を行い、我が国のICT国際指標におけるポジションの変化と要因に関する評価を行った
 具体的には、ICT関連市場を創造し活性化を促すICT基盤の強さを表す視点として「ICTインフラ整備・普及」及び「ICT利活用」、ICT関連市場自体の活動度を表す視点として「ICT関連投資」及び「ICT関連産業・市場」という4つの側面から、関連するICT国際指標を調査することにより、ICT国際指標における我が国の位置付けの変遷とその停滞要因分析を行った1


1 本調査のICT国際指標の分析では、日本、韓国、中国、シンガポール、イタリア、カナダ、オーストリア、オランダ、フィンランド、スイス、オーストラリア、フランス、米国、ニュージーランド、ポルトガル、英国、ドイツ、スペイン、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカ、ノルウェー、マレーシアの27か国を対象に、時系列データを含めて各国横並びに比較・分析を行っている。しかし、指標及び対象国の抽出・整理には制約があり、個別の分析では、一部データを取得できていない国も存在する。
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