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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 ICT国際展開がけん引する成長のポテンシャル

(2)ICTインフラ普及


ア 固定インフラ分野
 インフラ分野について、まず固定ブロードバンド及びFTTHに着目して各国における普及状況を基に2007年(平成19年)と2010年(平成22年)の状況を比較した(図表1-3-1-2)。なお、ここでいう固定ブロードバンドとは、ITUの定義に基づき、上り回線又は下り回線のいずれか又は両方で256kbps以上の通信速度を提供する高速回線2を指しており、我が国のブロードバンド環境からすると、比較的低速の回線についてもブロードバンドとして含まれる。

図表1-3-1-2 固定ブロードバンド普及率、FTTH比率及びインターネット人口普及率
図表1-3-1-2 固定ブロードバンド普及率、FTTH比率及びインターネット人口普及率のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

 固定ブロードバンド分野において、我が国は今や「枯れた」技術と考えられる固定ブロードバンドの普及率(26.9%(2010年(平成22年)))やインターネットの人口普及率(78.2%(2010年(平成22年)))という面でみると、他国に追い抜かれている状況にある。一方、固定インフラ分野においても、先端技術であるFTTHの普及(62.5%(2010年(平成22年)))という意味では、依然として優位性を有している。しかし、韓国はFTTH比率が58.9%(2010年(平成22年))と我が国並みに高い水準となっており、スウェーデンも30.6%(2010年(平成22年))となるなど、他国もFTTH化を進めている状況にある。
 一方、インフラ分野における新技術適用の観点から、次世代インターネットプロトコルへの対応について、IPv6プレフィックスの割当状況をみると、日本は米国(32.6%)、ドイツ(8.6%)に次いで第3位の6.5%となっており、米国と比べると対応の遅れがみられるものの、OECD諸国の中では先行していることがうかがえる(図表1-3-1-3)。

図表1-3-1-3 IPv6プレフィックスの割当数と固定ブロードバンド普及率
図表1-3-1-3 IPv6プレフィックスの割当数と固定ブロードバンド普及率のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

 一方、インターネットの普及状況について見てみると、我が国のインターネットの人口普及率は平成23年末で79.1%となっている(図表1-3-1-4)。平成18年末の72.6%から5年間で6.5%の伸長にとどまっており、近年伸び悩みの傾向が見られる。また、主要先進国と比較しても普及率が高いとは言えない(図表1-3-1-5)。この理由の一つとして3、特に高齢者層(55-64歳あるいは65-74歳)及び低所得者層における普及率の低さが要因となっている(図表1-3-1-6)。特にインターネット人口普及率が80%後半〜90%を超えるノルウェー、スウェーデン、スイス、オランダとの比較で、その傾向が顕著となっている。

図表1-3-1-4 我が国のインターネット利用者数及び人口普及率の推移(個人)
図表1-3-1-4 我が国のインターネット利用者数及び人口普及率の推移(個人)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

図表1-3-1-5 インターネット人口普及率の国際比較(2010年)
図表1-3-1-5 インターネット人口普及率の国際比較(2010年)のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

図表1-3-1-6 インターネット利用状況の国際比較(世代別及び所得別)
図表1-3-1-6 インターネット利用状況の国際比較(世代別及び所得別)のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

イ モバイル分野

 (ア)モバイルインターネット普及率、3G比率及び携帯電話普及率
 インフラ分野について、移動系について見てみると、3G比率(97.2%(2010年(平成22年)))、モバイルインターネット普及率(89.5%(2010年(平成22年)))では世界各国と比較して先行している(図表1-3-1-7)。しかし、携帯電話の普及率(95.4%(2010年(平成22年)))では調査対象国27か国中23位となっている。ここでも、韓国は、モバイルインターネット普及率(93.0%(2010年(平成22年)))、3G比率(81.3%(2010年(平成22年)))、携帯電話普及率(105.4%(2010年(平成22年)))と、我が国とそん色ない水準にある。また、2007年(平成19年)と2010年(平成22年)を比較すると、オーストラリアに代表されるように、3G比率とモバイルインターネット普及率ともに大きく伸ばしている国も多数存在している。携帯電話の普及率については、プリペイド等の市場構造の違いはあるものの、固定、移動体の両分野で汎用的な技術の普及と利活用面で課題が見られる。

図表1-3-1-7 モバイルインターネット普及率、3G比率及び携帯電話普及率
図表1-3-1-7 モバイルインターネット普及率、3G比率及び携帯電話普及率のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

 (イ) LTEへの対応
 世界の携帯電話事業者は、順次3.9世代移動通信システムとしてLTE(Long Term Evolution)システムの導入を進めている。世界におけるLTEの導入状況を見てみると、2009年(平成21年)12月に、通信事業者TeliaSoneraがスウェーデンとノルウェーにおいて、世界初の商用サービスを開始した。我が国では、2010年(平成22年)12月にNTTドコモが商用サービスを開始、2012年(平成24年)2月にはソフトバンクが商用サービスを開始、12月にはKDDIが開始を予定するなど、我が国のLTE導入は世界的に見ても時期的には先行しているが、諸外国の通信事業者も随時導入を図っており、2012年(平成24年)には計34か国が導入すると見込まれる(図表1-3-1-8)。また、世界各国におけるLTE事業者のシェアをみると、我が国のNTTドコモも23%を占めているが、米国のVerizon Wirelessが63%を占めるなど、LTEの普及という意味では、米国が先行している(図表1-3-1-9)。

図表1-3-1-8 世界各国におけるLTE導入推移
図表1-3-1-8 世界各国におけるLTE導入推移の図
GSA(Global mobile Suppliers Association)資料により作成

図表1-3-1-9 世界各国におけるLTE事業者のシェア(2011年(平成23年)末時点)
図表1-3-1-9 世界各国におけるLTE事業者のシェア(2011年(平成23年)末時点)のグラフ
(出典)Signals and Systems Telecom 社資料


2 高速回線には、ケーブルモデム、DSL、光ファイバ及び 衛星通信、固定無線アクセス、WiMAX等が含まれ、移動体網(セルラー方式)を利用したデータ通信の加入者数は含まれない。
3 このほか、ITUのインターネット普及率については、その多くは各国政府の統計調査等を原典としており、調査対象の年代など各国で定義の異なる箇所があることも理由として挙げられる。
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