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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第2節 グローバルに展開するICT市場

(1)ICTの普及率×識字率


 様々な新技術が広く社会に普及していくには、ある程度の教育水準が必要である。しかし、途上国においては、教育を受けさせるのに必要な所得水準に達していないため、充分な教育を受けることができず、新技術を使いこなすことができず、その恩恵としての所得向上も実現できないことが考えられる。このように、技術水準、教育水準と所得水準の3者のいずれをも向上することが難しい状況下に置かれる、いわゆる「貧困のわな」の解決は、新技術の途上国社会への適用を考える上で重要な課題である。しかし、「携帯電話」の音声を突破口として、新たな可能性が考えられる。
 ここでは、教育水準の代理変数として識字率に着目し、固定電話、携帯電話、インターネットの各普及率との関係を散布図でみると、携帯電話が広範に普及する前の1995年(平成7年)段階においては、固定電話が識字率の高い国でのみ普及している状況が分かる(図表1-2-3-1)。しかし、2000年(平成12年)には、携帯電話やインターネットが識字率の高い国において固定電話並みに普及が始まっている。そして、2005年(平成17年)には、識字率が50〜80%(低い教育水準)の国や地域でも、携帯電話やインターネットが固定電話を超えて一気に広がりつつある。2010年(平成22年)においては、識字率が50%未満の国や地域においても、携帯電話が急速に普及し、インターネットも固定電話以上に普及し始めている。この10年で、携帯電話を中心に、ICTが先進国のみでなく、開発途上国、それも識字率の低い国々でも広範に普及し始めていることが確認できる。

図表1-2-3-1 識字率と固定電話・携帯電話・インターネット普及率の散布図
図表1-2-3-1 識字率と固定電話・携帯電話・インターネット普及率の散布図のグラフ
篠崎彰彦・佐藤泰基「ICTが経済・社会に及ぼす影響のグローバルな躍動感」(平成24年)により作成
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