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第2部 情報通信の現況と政策動向
第5節 行政情報化の推進

(2)電子行政の実現


ア 行政手続のオンライン利用に係る国民の利便性向上と行政運営の効率化に向けた取組
 これまで、「国が提供する実質的にすべての行政手続をインターネット経由で可能とする」との方針の下、行政手続のオンライン化を進めてきたが、一方で、費用対効果等を踏まえたオンライン利用の範囲の検討やオンライン化された手続の業務プロセスの見直しが不十分であるとの指摘を受けてきた。
 これらの指摘を踏まえて策定された「新たなオンライン利用に関する計画」(平成23年8月IT戦略本部決定)では、オンライン化されている国の申請等手続全体について費用対効果等を踏まえたオンライン利用の範囲の判断を行うとともに、国民・企業等からの利用が多い「重点手続」について、手続を含む制度全体を視野に入れ、手続に係る申請者、行政、その他関係者の作業フロー等を把握・分析しつつ業務プロセス改革を進めることとされており、総務省でも、今後これらの取組を推進していく予定である。

イ 企業コードを用いた行政機関間情報連携の推進
 現在、民間企業が行う国や地方自治体向けの行政手続においては、公的証明書類の添付が義務付けられているものが多く存在する。一方、行政機関ごとに様々な企業コードが割り付けられていることから、行政機関間での情報連携が難しく、申請企業に負担が生じているなど、従来のオンライン行政手続は必ずしも利用者にとって利便性の高いものとはいえない状況にある。
 総務省では、「新たな情報通信技術戦略工程表改訂版」(平成23年8月IT戦略本部決定)に基づき、企業コード導入に係る課題抽出のために、平成22年度では「物品・役務入札参加資格審査手続」を対象とし、平成23年度では、「国の測量・建設コンサルタント等業務に係る入札参加資格審査手続」及び「地方公共団体(県)の物品・役務業務に係る入札参加資格審査手続」を対象に広げ、関係省庁・自治体と協力して、共通企業コードを用いて行政機関間の情報連携を行うことで登記事項証明書の添付を省略することについて、技術的検証、制度・運営面等における課題抽出を目的とした実証実験を行った2。これにより、利用者本位の新しい電子行政の実現を目指している。

ウ バックオフィス連携事業の推進
 地方自治体等の行政機関が保有する情報をバックオフィスで連携することにより、これまで申請・届出の際に添付していた証明書等の添付資料の不要化、複数の手続を1つの窓口で処理できるワンストップサービスの実現及び一人ひとりの国民に応じた情報を提供することが可能となる。総務省では、平成20年度から、地域情報プラットフォーム標準仕様を活用しつつ、組織の枠を超えて円滑な情報連携を行うための連携データ項目、連携インターフェイス機能等について検討してきた。今後も、これまでの検討の成果を踏まえつつ、円滑な業務間の情報連携を行うための自治体業務プロセス及び自治体業務システムの改革モデルの構築に取り組み、国民の利便性向上と行政事務の効率化を図ることにより、国民本位の電子行政の実現を目指していく。

エ 電子行政モバイルアクセス推進事業の推進
 NFC(近距離無線通信:Near Field Communication)機能を実装したスマートフォン端末を用いて、電子行政サービスなどを簡単かつ安全に利用できる仕組を実現するため、総務省では、平成23年度から、「電子行政モバイルアクセス推進事業」を実施している2。この中で、行政をはじめとする各種商用サービスの利用者がスマートフォンから簡単かつ安全にID、チケット、証明書等のサービスに関連した利用者情報を利用できる仕組を実現するための技術的検証、制度・運営面等における課題抽出を目的とした実証実験を行った。この成果をガイドラインにまとめ、普及させることにより、申請手続や証明書入手が週7日・24時間可能となるサービスの実現を目指している。


2 行政業務システム連携推進事業:http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/gyousei_system.html
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