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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 ICT国際展開がけん引する成長のポテンシャル

(3)ICT利活用


ア 個人のインターネット利活用
 「個人」のインターネット利活用として、代表的アプリケーションであるコミュニケーション(電子メール等)、電子商取引、インターネットバンキングを取り上げて各国を比較すると、日本は取り上げた3つのサービスのうち電子商取引の利用率では先行し、現在でも他国に追いつかれつつあるものの上位を維持している(図表1-3-1-10)。しかし、コミュニケーションとインターネットバンキングについては、従来から他国に比べて利用率が低い。一方、北欧諸国は、コミュニケーション、電子商取引及びインターネットバンキングいずれも上位に位置しており、これらの諸国では、個人におけるインターネット利活用が進んでいることがうかがえる。

図表1-3-1-10 個人における電子商取引、インターネットバンキング利用及びコミュニケーション利用
図表1-3-1-10 個人における電子商取引、インターネットバンキング利用及びコミュニケーション利用のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

イ 企業のインターネット利活用
 「企業」のインターネット利活用について、企業におけるブロードバンド利用率、企業における電子商取引利用率(販売及び購入)を取り上げて各国を比較すると、日本企業のブロードバンド利用率は79.7%に達しているが、これは調査対象国中最も低い値である。企業における電子商取引利用率についても、他国と比べると中位から下位に位置している(図表1-3-1-11)。

図表1-3-1-11 企業におけるブロードバンド利用率、販売及び購入向けの電子商取引利用
図表1-3-1-11 企業におけるブロードバンド利用率、販売及び購入向けの電子商取引利用のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

ウ 公共分野におけるインターネット利活用
 「公共分野」におけるインターネット利活用として、公的機関への個人によるインターネットを介したやり取りの比率、学校におけるインターネット環境の整備状況を取り上げて各国を比較すると、日本は双方とも他国に比べて下位に位置している(図表1-3-1-12)。特に公的機関とのインターネットを介したやり取りは18.9%と、調査対象18か国の中で最下位となっている。一方、北欧諸国については全般的に高い値を示しており、公共分野におけるICTインターネット利活用が進んでいることがうかがえる。

図表1-3-1-12 公的機関への個人インターネットアクセスと学校インターネット整備度
図表1-3-1-12 公的機関への個人インターネットアクセスと学校インターネット整備度のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)


コラム 国際指標にみる公的分野のICT利活用状況

(ア) 電子政府(国際連合「電子政府発展指数」)
 国際連合が公表している「電子政府発展指数」は電子政府サービスを実施・策定する政府の能力を測ったものである。指数は、①オンラインサービス指数(各種行政サービスのオンライン提供状況)4、②インフラ普及指数(ICTに係る普及指標)5、③人的資本指数(識字率・就学率)6から構成され、それらの加重平均とされている。特に、①オンラインサービス指数については、2010年(平成22年)調査からは、モバイルアプリ、Web2.0等対市民サービスに重点化し、より高度な利活用を積極的に評価するよう、指標の見直しが行われている。
 2012年(平成24年)における同指数1位の韓国と、利活用型サービスと関係の深いオンラインサービス指数の内訳を比較すると、我が国は、ステージ1とされるウェブサイトの構築等基礎的サービスについては、差はないものの、ステージ3、ステージ4とされる高度利活用型サービスの提供では、差が広がる結果となっている(図表1)。

図表1 国際連合「電子政府発展指数」について
図表1 国際連合「電子政府発展指数」についての図

(イ) 学校インターネット
 OECDの調査7によれば、OECD諸国の学校におけるインターネットへの接続は着実に増加してきているが、生徒による利用はまだ伸びる余地があるとしている。2009年にはOECD平均で92.7%の学校においてインターネット接続をしているが、それを利用していると答えた生徒は69.6%に過ぎない。特に、我が国においては、それぞれ84.4%、45.6%となっており、いずれもOECD平均を下回っている(図表2)。

図表2 学校におけるインターネット接続及び利用
図表2 学校におけるインターネット接続及び利用のグラフ
(出典)OECD 「The Future of the Internet Economy: A Statistical Profile, 2011 update」


4 「オンラインサービス指数 (Online service index)」:国連の調査チームが、各省庁のウェブサイトについて4段階で評価。なお、評価者の主観に偏らないように、複数の専門家による評価を実施。
5 「インフラ普及指数 (Telecommunication infrastructure index)」:ICTに関する5指標(100人当たりパソコン数、100人当たりインターネットユーザー数、100人当たり電話回線数、100人当たりブロードバンド利用者数、100人当たり携帯電話数)の加重平均。
6 「人的資本指数 (Human capital index)」:成人の識字率(比重は3分の2)と初等・中等・高等教育総就学者比率(比重は3分の1)の加重平均。
7 義務教育修了段階の15歳児を対象とした調査である、OECD生徒の学習到達度調査(PISA) 2009による。

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