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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第2節 東日本大震災と事業継続

(4)クラウドサービスへの期待


 東日本大震災においては、自治体の庁舎が壊滅・損壊する、住民データ等が消失するなどの被害が発生し、業務執行に困難を来したケースが発生した。一方、クラウドサービスは、庁舎から離れた場所にあるデータセンターのリソースを活用して業務を行うものであり、仮に災害等で庁舎において業務が継続できない事態になったとしても、仮庁舎と当該データセンターとの間を結ぶことにより、早期に業務の再開が可能となるほか、住民データ等の保全にも資することになる可能性がある。総務省において開催した自治体クラウド推進本部有識者懇談会の取りまとめ3(平成23年6月)においては、コスト面だけでなく、災害時の業務継続や早期の行政機能回復を図る観点から、導入について検討を行うべきである旨の提言もなされた。
 このような背景も踏まえ、地方公共団体におけるクラウドサービスの利用状況について聞いてみたところ、全庁的に利用しているのは、6.3%と低いが、一部の部門で利用していると回答した団体を含めると45.0%に及ぶ(図表3-2-2-10)。自治体別にみると、都道府県では利用がないが、市区町村では全庁的なクラウドサービス利用がみられ、特に町村では8.2%と比較的多くなっている。規模的に全庁的な導入がしやすいことが理由と考えられる。また、クラウドサービスについて、導入検討を進めている団体は、全体で79.0%となっており、都道府県に限ると全ての自治体で導入検討が進められている(図表3-2-2-11)。特に、東日本大震災を踏まえ、より積極的に導入又は導入検討を進めていると回答した団体は全体では40.2%、市区及び町村でも約4割に達しており、東日本大震災を踏まえ、クラウドサービスに対する導入・検討に向けた意向が増加している。

図表3-2-2-10 クラウドサービスの利用状況
図表3-2-2-10 クラウドサービスの利用状況のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査」(平成24年)

図表3-2-2-11 クラウドサービスの導入・検討状況
図表3-2-2-11 クラウドサービスの導入・検討状況のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査」(平成24年)

 なお、クラウドサービス導入においては、これまでも利点とともに課題も指摘されてきた。地方公共団体からは、利点として「自前の資産、保守体制が不要」「バックアップとしてのデータの保管」「停電になってもサービスを利用できる」等が挙げられている(図表3-2-2-12)が、一方で、課題として「ニーズに応じたカスタマイズ」、「セキュリティが不安」、「ネットワークの安定性が不安」などが挙げられている(図表3-2-2-13)。特に、民間企業を対象とした通信利用動向調査の結果(第4章第4節図表4-4-1-5)と比べて、カスタマイズができないことに対する不満が大きいことが特徴として挙げられる。

図表3-2-2-12 クラウドサービス導入における利点(上位5項目)
図表3-2-2-12 クラウドサービス導入における利点(上位5項目)のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査」(平成24年)

図表3-2-2-13 クラウドサービス導入における課題(上位5項目)
図表3-2-2-13 クラウドサービス導入における課題(上位5項目)のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査」(平成24年)


3 自治体クラウド推進本部有識者懇談会とりまとめ(http://www.soumu.go.jp/main_content/000121262.pdf
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