総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > スマートフォンユーザーの特徴(従来型携帯電話ユーザーとの比較)
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第2節 「スマートフォン・エコノミー」〜スマートフォン等の普及がもたらすICT産業構造・利用者行動の変化〜

(1)スマートフォンユーザーの特徴(従来型携帯電話ユーザーとの比較)


ア 主な情報通信機器の世帯保有状況
 ICT利用者の側からみて、スマートフォンの普及は、情報通信機器の全体の普及動向のなかで、どのような位置にあるのだろうか。主な情報通信機器の世帯保有状況について、平成23年通信利用動向調査により、過去5年間の推移をみたのが図表2-2-3-1である。携帯電話・PHS(スマートフォン含む)は、保有率が最も高く、ほぼ横ばいで推移しており、基本的な情報通信手段としての位置付けを維持している。スマートフォン39、タブレット端末については、平成22年から調査を行っているが、平成23年にはスマートフォン(再掲)の保有率が9.7%から29.3%と3倍増となる一方で、タブレット端末は7.2%から8.5%と、微増にとどまっている。パソコン保有率は、平成21年から減少傾向にあり、平成21年の87.2%から平成23年の77.4%と、10%近く減少している。情報通信機器が全体的に飽和状態にあるなかで、スマートフォンの急速な普及が突出し、新規需要を開拓している状況が見て取れる。

図表2-2-3-1 主な情報通信機器の世帯保有状況(平成19〜23年末)
図表2-2-3-1 主な情報通信機器の世帯保有状況(平成19〜23年末)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

 また、スマートフォン、タブレット端末利用者は、家庭内で無線LAN接続して利用しているケースが多いと考えられる。パソコン、スマートフォン、タブレット端末の保有世帯の無線LAN利用率をみると、家庭内無線LANはパソコン保有世帯でも既に5割を超える利用率に達しているが、スマートフォン、タブレット端末利用者はそれぞれ6割、7割を超えており、スマートフォン等の普及が家庭内無線LANの普及を後押ししていることがうかがえる結果となっている。

図表2-2-3-2 家庭内無線LANの世帯導入率(平成23年末)
図表2-2-3-2 家庭内無線LANの世帯導入率(平成23年末)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

イ インターネット個人利用の状況
 次に、個人のインターネット利用は、スマートフォンの普及によりどのような状況になっているかについて、同様に平成23年通信利用動向調査の結果に基づき、概観する。
 まず、端末別のインターネット人口普及率をみると、スマートフォンからインターネット利用をしている人は16.2%に達した。これは、インターネット利用率全体の約2割に達している。また、家庭内外において、インターネット接続に主として使う端末が何かを聞いたところ、家庭外では9.8%、家庭内でも5.6%が主としてスマートフォンをインターネット接続に利用していると回答している。

図表2-2-3-3 インターネットの個人利用の状況(平成23年末)
図表2-2-3-3 インターネットの個人利用の状況(平成23年末)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

 携帯電話、スマートフォン、タブレット端末利用について、それぞれ世代別の人口普及率を端末別のインターネット人口普及率をみると、従来型携帯電話は、50代までの幅広い世代で4割を超える利用率に達しており、60代以上では、自宅パソコンからの利用率を上回る。その一方で、スマートフォンは、20代は4割を超えるものの、世代間の差が大きいことがわかる。また、タブレット端末は、20代〜40代でも6〜7%にとどまっている40
 幅広い世代層でどこでもインターネットに接続できる機器として、従来型携帯電話は依然大きな役割を果たしている一方、若年層においては、急速なスマートフォン利用へのシフトが生じていることが見て取れる。

図表2-2-3-4 インターネットの世代別個人利用の状況(平成23年末)
図表2-2-3-4 インターネットの世代別個人利用の状況(平成23年末)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

ウ スマートフォン利用者の利用動向の特徴
 それでは、このようなスマートフォン等の普及により、ICT利用者の利用動向はどのように変化したのだろうか。この点について、平成23年通信利用動向調査から、家庭外における従来型携帯電話利用、スマートフォン利用を比較したのが、図表2-2-3-5である(なお、タブレット端末利用については、回答者数の関係で比較から除外した。)。

図表2-2-3-5 従来型携帯電話とスマートフォンのインターネット利用動向比較
図表2-2-3-5 従来型携帯電話とスマートフォンのインターネット利用動向比較のグラフ(1)
図表2-2-3-5 従来型携帯電話とスマートフォンのインターネット利用動向比較のグラフ(2)
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

 まず、家庭外でのインターネット利用回数については、従来型携帯電話利用では毎日1回以上が5割強にとどまっているのに対し、スマートフォン利用では約8割に達し、インターネット利用が増加している。次に、家庭外での利用目的別利用状況をみると、全般的にスマートフォン利用が従来型携帯電話利用を上回り、特にホームページ閲覧、ソーシャルメディア利用、電子商取引、地図情報の利用について顕著に違いがでている。
 電子商取引を中心とする利用動向について品目別にみると、全般的に、スマートフォン利用が大きく従来型携帯電話利用を上回る状況が見て取れる。参考まで自宅パソコン利用と比較すると(図表2-2-3-6)、商品等の購入には差があるが、デジタルコンテンツ購入では差が縮小していることがわかる。また、家庭外でのインターネット購入の上限金額について、電子商取引等利用経験者の平均をみると、スマートフォン利用の方が従来型携帯電話利用より2,400円、約18%上回っている。このように、スマートフォンの普及は、電子商取引利用を促進する可能性があることが見て取れる。

図表2-2-3-6 自宅パソコンからのインターネット利用の動向(家庭内)
図表2-2-3-6 自宅パソコンからのインターネット利用の動向(家庭内)のグラフ
(出典)総務省「平成23年通信利用動向調査」

エ フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット端末間の利用動向の比較 (ウェブアンケート調査)
 上記のようなスマートフォン等の普及による利用端末別インターネット利用動向の変化や端末選択の要因等をさらに詳しく比較分析するため、フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット端末ユーザーについて、回収数の割付を行った上で、ウェブアンケート調査を実施した41。
 まず、各端末のユーザーの一日の接触時間(屋内外)の違いをみると、屋内、屋外ともにスマートフォンユーザーはフィーチャーフォンユーザーの約2倍で、屋内外を合計すると129分に達する。また、パソコンユーザーとの比較では、パソコンユーザーの屋内外での接触時間合計(166分)の77%に達するとともに、屋外だけに限るとパソコンユーザーの接触時間の2倍以上に達する点が注目される。
 また、フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット端末ユーザーに対し、モバイル関連の月当たり支出額42をみると、通信サービス(基本料、通話料、パケット通信料の合計)については、フィーチャーフォンユーザーが合計4,448円であるのに対し、スマートフォンユーザー、タブレット端末ユーザーはそれぞれ9,488円、10,574円と2倍以上に達している点が注目される。他方、端末を通じた商品の購入については、フィーチャーフォンユーザーが676円であるのに対し、スマートフォンユーザーが1,236円、タブレット端末ユーザーが4,791円となっており、特にタブレット端末ユーザーが高水準となっている。

図表2-2-3-7 接触時間及びモバイル関連支出額の端末別比較
図表2-2-3-7 接触時間及びモバイル関連支出額の端末別比較のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

 また、フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット端末、パソコン毎に、①検索サービス、②ソーシャルネットワーキングサービス、③電子書籍、④電子新聞、⑤動画配信、⑥音楽配信、⑦オンラインゲーム、⑧ネットショッピングの項目について、どのサイトを主として利用しているか質問している。その結果は第2節2(2)に分析したとおりであるが、当該調査結果から、何らかのサイトを利用しているとの回答比率をレーダーチャート化したのが(図表2-2-3-8)である。

図表2-2-3-8 サービス別利用動向の端末別比較
図表2-2-3-8 サービス別利用動向の端末別比較のグラフ(1)
図表2-2-3-8 サービス別利用動向の端末別比較のグラフ(2)
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

 この図から、フィーチャーフォンからスマートフォン、タブレット端末に移行することにより、よりパソコンに近いサービス利用形態に移行し、インターネットを通じた経済活動が刺激される可能性を読み取ることができよう。
 また、パソコン利用者の各サービスの利用率を100として他の端末の利用率を指数化して示したレーダーチャートをみると、タブレット端末については、電子書籍利用が突出しており、同端末が電子書籍利用と密接な関係にあることが裏付けられている。
 平成23年通信利用動向調査、端末別ウェブアンケート調査結果を踏まえれば、①特にスマートフォンユーザーが急速に伸びていること、②スマートフォンユーザー及びタブレット端末ユーザーは、インターネット利用を拡大、通信料もフィーチャーフォンユーザーに比べて高水準にあること、③電子商取引やコンテンツ購入も従来型携帯電話ユーザーに比べて相当程度高い水準にあり、パソコンユーザーに近い水準にあること、④タブレット端末ユーザーは、より電子商取引への指向性が高く、特に電子書籍に親和性があること、が見て取れる。


39 通信利用動向調査では、スマートフォンは、「個人用の情報端末の機能を併せ持った携帯電話。音声通話以外に、ウェブ閲覧、電子メールの送受信、文書ファイルの作成・閲覧などができる。仕様が公開されたOSを搭載しており、利用者が自由にアプリケーションソフトを追加することが可能となっている。」と説明している。本項では、それ以外の携帯電話端末を「(従来型)携帯電話」として扱っている。
40 都道府県別の主要端末別利用の普及率について第4章第3節1(2)参照。
41 調査概要は付注7参照。
42 複数の端末を保有する場合も含めたユーザー一人当たりの総額の金額であり、端末一台当たりの支出額ではない。




テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る