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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 「スマート革命」 ―ICTのパラダイム転換―

第1節 「スマート革命」 ―ICTのパラダイム転換―


1 「ユビキタスネットワーク」環境の完成と「スマート革命」

(1)インターネット・携帯電話の社会基盤化

 第1章で検証したように、ICTは世界の成長の原動力としてその機能は実証され、常識となりつつある。その中核に位置するのが、インターネットである。インターネットは先進国、新興国、開発途上国を問わず全世界に急速に普及が進んだ。平成23年5月のドーヴィルG8サミットに先立ちパリで開催されたe-G8フォーラムに提出されたレポート「Internet Matters」1では、インターネットはグーテンベルグの印刷技術ではなく電気の発展と商用化と比肩すべきとの議論を紹介し、「電気は、高層階まで上ることができるエレベーターを可能にし、巨大な超高層ビルの夜明けの到来を告げることにより、世界中の街の風景を変えた。電気と同様に、インターネットは世界の風景を変えつつある。インターネットははるかな距離の橋渡しをし、直ちに利用できる情報のほとんど絶えることのない奔流にすぐにアクセスすることを可能にすることにより、世界をよりフラットにしつつある。」と述べている。また、平成24年4月のストックホルムインターネットフォーラムでは、スウェーデンのビルト外務大臣が、「インターネットは21世紀の『水』であり、水のあるところに『命』が生まれる。インターネットへのアクセスが確保されたところに『希望』が生まれる。インターネットの自由の欠如は今日における貧困の一形態となる。」と、インターネットを水に例えてその役割の重要性を強調した。昨今、サイバー攻撃による政府・企業への被害がたびたび報じられているが、これはグローバルに、オープンに広がるインターネットがあらゆる国の社会・経済活動に不可欠の基盤になったことの副作用とも見て取れる。インターネットはあらゆる社会活動の基盤となり、人々の生活の利便性の向上や経済活性化の原動力としての役割を果たしている。
 また、第1章第2節で紹介したように、電力インフラなど他のインフラが整備されていない、識字率の低いハンディのある地域でも先行して整備が進み、貧困から発展への起爆力となっている携帯電話も、特に開発途上国において、固定電話と異なりインフラ整備が比較的容易であるという特性と、音声通話やSMSという誰でも容易に扱える情報伝達の特性を生かして貧困から発展への「壁」を打破する技術として、成長の「第一歩」としての重要性を増している。例えば、ケニア・Safaricomの前CEOのMichael Josephは、2000年(平成12年)のCEO就任時には「この国の市場規模はせいぜい5万人」と発言していたが、現実に、2010年(平成22年)の退任時には、契約者数は約1,200万人に達していた。このように、携帯電話の普及は、その整備の最前線にいる人々の予測すら超えて、爆発的に普及しつつある。

図表2-1-1-1 インターネット・携帯電話の世界普及の動向(地域別)
図表2-1-1-1 インターネット・携帯電話の世界普及の動向(地域別)のグラフ
ITU資料により作成

図表2-1-1-2 インターネット上の情報流通の急速な拡大
図表2-1-1-2 インターネット上の情報流通の急速な拡大のグラフ
(出典)総務省「海外主要国における情報通信産業等に関する調査」(平成24年)(TeleGeography's Global Internet Geographyにより作成)


1 “Internet matters: The Net's sweeping impact on growth, jobs, and prosperity” Mckinsey Global Institute 本文p.1参照。
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