総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 我が国における社会保障・税番号制度及び国民ID制度の検討動向
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTイノベーションによる「課題解決力」の実証

9 国民ID制度への期待と課題


(1)我が国における社会保障・税番号制度及び国民ID制度の検討動向

 社会保障・税番号制度は、正確な本人確認を前提に、国民一人ひとりに付番される「マイナンバー」を活用して所得等の情報を把握し、それらの情報を社会保障や税の分野等で効果的に活用するとともに、ICTを活用して効率的かつ安全に情報連携を行える仕組を国・地方で連携し協力しながら整備することにより、国民生活を支える社会的基盤を構築することを目的とするものである。同制度により、所得情報の正確性を向上させ、社会保障制度や税制において国民一人ひとりの所得・自己負担等の状況に応じたよりきめ細やかな制度設計が可能となる等、真に手を差し伸べるべき者に対する社会保障の充実や、負担・分担の公正性の確保、各種行政業務の効率化が実現できる。同制度については、これまで、平成22年2月から行われた社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会における議論も踏まえ、平成22年11月から、政府・与党社会保障改革検討本部の下に置かれた社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会において検討が進められ、平成23年6月には、政府・与党社会保障改革検討本部において、制度設計の内容、制度の円滑な導入、実施、定着、利便性の向上に向けた実施計画等について、政府・与党として今後の方向性を示す「社会保障・税番号大綱」が決定された。そして、現在は、平成24年2月に、第180回国会(常会)に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)等が提出されている。
 他方、国民ID制度は、情報通信による国民の利便性の向上、公平な負担、社会的弱者への確実な給付等を実現するため、行政機関等が保有する国民に関する情報を、個人情報保護の確保を図りながら、IDを利用し、情報保有機関相互間で安全かつ効率的に情報連携を行うための仕組を整備しようとするものである。同制度については、平成22年5月にIT戦略本部において決定された「新たな情報通信技術戦略」において、国民本位の電子行政を実現するため、社会保障・税番号制度の検討と整合性を図りつつ、電子行政の基盤として、官民サービスに汎用可能なものとして整備を行うこと等とされており、平成22年9月から、IT戦略本部企画委員会に設置された電子行政に関するタスクフォース(以下単に「タスクフォース」という。)において検討が開始されている(図表1-4-9-1)。

図表1-4-9-1 社会保障・税番号制度と国民ID制度
図表1-4-9-1 社会保障・税番号制度と国民ID制度の図
(出典)内閣官房資料を基に総務省作成

 この点、特に、以上の両制度において共通する仕組として、社会保障・税番号制度の導入に伴い、行政機関等を監視・監督する第三者機関の創設等の個人情報保護等の仕組に加えて、ICTを活用することで複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であるということの確認を行うための基盤が整備される予定である。今後、我が国において、この情報連携基盤については、平成28年1月より、社会保障や税の分野等において国の機関間の連携から開始される予定であるが、将来的には、国民ID制度としても検討してきた分野である、社会保障や税分野等以外の幅広い行政分野や、国民が自らの意思で同意した場合に限定して民間のサービス等に活用する場面においても情報連携が可能となるようセキュリティに配慮しつつシステム設計が行われることとされている。今後のスケジュールとしては、平成30年を目途にそれまでの社会保障・税番号制度の執行状況等を踏まえ、利用範囲の拡大を含めた見直しを行うことを引き続き検討するとされているところであり、現在、当該見直しを見据え、タスクフォースにおいては、以上の情報連携基盤等を有効活用することによる本人の同意を前提とした民間機関との情報連携に関する活用モデルの在り方、同モデルにおける各種課題や今後の取組方針等について検討が進められている。
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