総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 「ICTと成長」を巡る国際的なトレンドと我が国の厳しい状況への認識
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTによる新たな成長のステップに向けて

1 「ICTと成長」を巡る国際的なトレンドと我が国の厳しい状況への認識


 ICT、とりわけインターネットが、世界経済成長及びイノベーションの推進力となっていることは、昨年のG8サミットでも首脳宣言で確認された。また、国際連合貿易開発会議(UNCTAD)が2010年(平成22年)に公表した情報経済レポート(Information Economy Report)では、ICTが企業活動や雇用の増大をもたらし、貧困の削減に貢献する点に焦点をあて、貧困の解消に果たすICTの役割を分析している。このように、ICTが成長のエンジンであることは、あらゆる国において共通認識となりつつある。そのような中で、特にインターネットの急速な社会基盤化や、モバイル通信網(2GからLTEまで)の普及が、先進国、開発途上国問わずICTと成長・発展を結ぶ経路として重要性を増している。
 その一方で、日本のICT分野でのポジションをみると、各種ICT国際指標では、好意的に評価しても「立ち止まっている。」といわざるを得ない。モバイル産業や通信インフラの先進性の優位度が縮まる一方、ICTの普及面では主要国に追いつかれている状況にあり、また従来から我が国の課題として指摘されてきたICTの利活用では、逆に格差が広がりつつある面もある。
 EUやASEANなど世界各国・地域でICT分野の戦略的取組を進めているが、その政策の基本的枠組みはブロードバンド、ワイヤレスネットワーク整備とICT利活用の促進であり、我が国がこれまで進めてきたICT戦略と大きな相違があるわけではない。我が国は、まだ、収益性の高いモバイル産業、国内市場規模の大きさ、洗練された消費者の存在など強みを有しており、モバイルインターネットやインターネットサービスの市場化についても先行した優位性を保持している。ICT分野で世界に先行しているという意識を取り去り、このような強みを成長に繋げるべく我が国のICT分野の取組に一層の実行力を確保することが望まれる。
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