総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 多様な情報伝達手段を用いた迅速・確実な情報提供
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 東日本大震災の教訓とICT

1 被災地域における情報伝達とICT


(1)多様な情報伝達手段を用いた迅速・確実な情報提供

 インタビュー調査では、震災発生時は即時性の高いラジオ、震災直後には双方向性を有する携帯電話・メールと映像を伴う地上テレビの評価が高かった。その意味では、災害時における放送や携帯電話の重要性が改めて示されたところだが、その一方で、発災直後や津波情報の収集では、放送や防災無線など一斉同報型手段の利用率が高いものの、一番利用率の高いラジオでも4割強にとどまっている。また、即時性、地域性の高い情報については、広域放送の限界も指摘され、コミュニティ放送、臨時災害放送局での情報提供や口コミでの情報収集が広範に行われる一方で、インターネット先進ユーザーでは、ソーシャルメディアを用いて効果的な情報収集を行っていた例も見受けられた。
 携帯電話については、発災時から避難時にかけて、「使えると思っていたのに使えなかった。」という趣旨のコメントが多数寄せられた。
 浸水地域では、防災無線から津波情報を入手した割合が高かった。行政情報については不十分との回答が多かったが、充足度が高い回答者はインターネットを活用した傾向も見受けられた。NPO・ボランティアの方々でインターネットを有効活用した人の評価も高い
 以上を踏まえれば、災害時においては、放送や携帯電話はもちろんのこと、インターネット、ソーシャルメディアも含め、多様な情報伝達手段を並行して用いることにより、「エアポケット」が生じることなく、情報が迅速に、確実に居住者・就労者・観光客など、全ての方々に届くように取り組むことが求められるといえよう。
 なお、今般の大震災では、送信側(基地局、放送局送信設備など)、受信側(携帯電話端末、テレビなど)両面で電源確保の重要性が示されたことについても、十分留意する必要がある。また、災害時の避難勧告・指示などの行政情報をテレビ、携帯電話、ラジオなどの様々なメディアを通じて、地域住民に迅速かつ効率的に提供することを実現する「公共情報コモンズ1」の普及が望まれる。


1 地方自治体等が、安心・安全に関わる公的情報等を、放送事業者・通信事業者等に一斉に配信でき、迅速かつ効率的に住民に伝えることができる情報基盤のこと。一般財団法人マルチメディア振興センターが運営。
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