総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 「スマート革命」が促すICT産業・社会の変革
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 「スマート革命」 ―ICTのパラダイム転換―

第2章 「スマート革命」が促すICT産業・社会の変革


 第1章で分析したとおり、ICTは依然として、幅広い産業・社会分野への実装を通じて、またICT産業の拡大を通じて、我が国及び世界での成長のエンジンとして機能しており、先進国、新興国はもとより、識字率の低い開発途上国においても、電力、水道など他の社会インフラに先立って、例えば太陽光発電により作動する単純な機能の携帯電話システムの導入が社会の発展のきっかけとなる一方で、中国、韓国のメーカー等が開発途上国に積極的にシステムの売り込みを図る姿がみられるなど、ICTによる成長とそれに伴い急拡大するICT市場を巡って、ICTの活用側、ICT産業の側双方で競争が起きている。
 他方、特に先進国を中心に、ブロードバンド、特にワイヤレス・ブロードバンドの普及、クラウド環境への移行、ソーシャル利用の拡大を契機に、ICTのパラダイム転換が生じつつある。昨年から本年にかけて急速に普及しつつあるスマートフォンにより、そのようなネットワーク・サービスにいつでも、どこでもアクセスできるようになりつつある。その一方で、このような変化は、昨年度の日本の一部電機メーカーの厳しい決算状況にみられるように、ICT産業の各セクターの浮沈をもたらし、また一部のスマートフォンによる「垂直統合型」サービスの提供は、水平分離型(パソコン)または通信キャリア主導型の垂直統合モデル(携帯電話)に占められてきた我が国のICT産業の構造に根本的な変化をもたらしつつあるようにもみえる。
 本章では、まず第1節で、ユビキタスネットワーク環境の完成とビッグデータに代表されるスマート化の始動により進行しつつある「スマート革命」を概観するとともに、特にインターネットがグローバルな社会基盤となることにより生じつつある課題、とりわけ制度的課題やその国際議論、深刻化するサイバー攻撃など情報セキュリティを巡る動向を紹介しつつ、「スマート革命」の原動力として広範な産業・社会分野の期待を集めているインターネットの知識創造基盤としての役割に関し、ビッグデータの動向を紹介する。次に第2節で、様々な財・サービスの流通基盤として国境を越えて機能しつつある点について、特に成長性の高いモバイル産業に焦点をあて、スマートフォン・タブレット端末の普及がマーケットや利用者にもたらしている急速な変化やそれにより見込まれる経済波及効果について分析し、その構造変化について展望する。最後に、第3節で、モバイル産業と並ぶ無線系ネットワーク・サービスの柱である放送メディアの新展開について展望する。
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