総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > ICTを活用した街づくりに対する期待と課題
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第5節 地域成長力をけん引するICT

(3)ICTを活用した街づくりに対する期待と課題


 ICTを活用した街づくりへの取組について聞いたところ、取組を進めている自治体(既に取組を推進している自治体及び具体的に検討している自治体の合計)は5.7%にとどまっているが、一方で関心を有している自治体が65.9%など、肯定的な回答をした自治体は約7割に及んでおり、ICTを活用した街づくりに対する自治体の期待は高い。しかし、その多くが実行段階には移せていない状況がわかる(図表1-5-1-6)。

図表1-5-1-6 ICTを活用した街づくりの取組状況
図表1-5-1-6 ICTを活用した街づくりの取組状況のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査研究」(平成24年)

 また、ICTを活用した街づくりの導入希望分野としては、「安全・安心分野」(40.9%)、「ヘルスケア、教育その他生活分野」(34.2%)や「農林水産業、地場産業分野」(29.8%)を挙げる自治体が多い(図表1-5-1-7)。

図表1-5-1-7 ICTを活用した街づくりの導入希望分野
図表1-5-1-7 ICTを活用した街づくりの導入希望分野のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査研究」(平成24年)

 自治体がICTを活用した街づくりを進める際に、どのような点を課題として考えているのかについて尋ねたところ、「予算措置の困難さ」(49.9%)といった予算面での制約の意見が最も多かったが、「客観的データがないことによる住民の理解や参加の困難さ」(39.6%)や「効果の確認に当たっての事例の少なさ」(30.8%)といった、効果の見える化を最も重要な課題として指摘する意見も多かった(図表1-5-1-8)。また、「高齢者や年少者でも使いやすい端末・サービスの実現」(34.0%)といったアクセシビリティに関する意見も見られた。

図表1-5-1-8 ICTを活用した街づくりを進める際の課題
図表1-5-1-8 ICTを活用した街づくりを進める際の課題のグラフ
(出典)総務省「地域におけるICT利活用の現状及び経済効果に関する調査研究」(平成24年)

 自治体においても、地域経営戦略におけるデータ・ICTの活用やいわゆる「スマートシティ」「スマートタウン」構想に対しては、具体的な取組はこれからの状況にあるもののおおむね必要性は感じており、財政面の対応や実証実験による具体的効果の提示により飛躍的に進む可能性がある。「スマートシティ」などのICTを活用した街づくりは始まったばかりである。ICTを活用した街づくりに対する自治体の期待感も踏まえ、今後、我が国においても実証事例を積み重ね、効果の見える化を進めていくことが、普及に向けて重要であると考えられる。
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