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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 デジタルネットワーク完成が導くメディア新展開

読者参加コラム 2020年に、メディアはどう進化している?


 「みんなで考える情報通信白書」2つ目のメインテーマとして、「ソーシャル・クラウド時代のメディアの将来像」をテーマに意見募集を行った7ところ、新しいメディアの動向に敏感な若い世代からの意見も多く寄せられた。

1.2020年にテレビはなくなる!?
 寄せられた多くのコメントから、若者世代が予想する「驚愕の将来像」が明らかになった。SNSにより意見募集という点に留意は必要だが、「2020年には、テレビはなくなっているかもしれない」というのである。

→ 受動的なメディアなままだと、ネットにあるコンテンツの方が全然面白いので、テレビは見なくなると思う。現に見ていない。
→ もしかしたら、テレビ、それ自体がなくなっているかもしれない。過激な発言に取られるかもしれないが、四角い箱である「テレビ」という枠を超え、様々なデバイスで見ることが可能になると思う。
→ 他のメディアに対して、テレビにしかできない!という何らかの恩恵を得られていない気がする。流しっぱなしの現状のテレビを突き詰めると、スマートフォンやタブレットデバイスの端っこに常駐するアプリとかになるような気がする(気になるものが流れ始めたらタッチして最大化するとか)。

 コメントをよく読めば、単純に「テレビ放送が消滅する」と予想しているわけではなく、「全く異なる形に進化している」という意見が多いのだが、少なくとも彼らにとってテレビがもはやメディアの「王者」でないことは歴然としている。「ネットに比べてコンテンツが面白くない」という意見も多く、テレビの将来については、ごく自然な感想として「もっとネットと融合し、双方向型のサービスに進化しなければ生き残れない」と考えられている。

→ インターネットに取って代わられるということはなく、むしろインターネットと共存し、お互いがその価値を高め合う関係が強くなると思う。TwitterやFacebookの連動にとどまることなく、技術の進歩と共に様々な形でインターネットと融合していくと思う。
→ 消費者にとってコンテンツが取りやすいメディアに急速に変化すると考えます。クラウドをベースにいつでもどこでも好きなコンテンツを高品質で享受できる映像プラットフォームになるのでしょう。
→ テレビという枠を超え、新しい情報通信技術を活かし、よりスピーディに、リアルタイムで視聴者と双方向でやりとりを行うスタイルになるのではないかと思う。

 これらのコメントからは、若い世代にとっての「将来のテレビ」とは放送波を使ったテレビ放送サービスのことではなく、「ネット技術をベースとした映像配信サービス」に拡張してイメージされていることがわかる。彼らは、「テレビ放送」という枠で将来のテレビを考えること自体に違和感を覚える世代なのである。テレビというメディアの進歩は地デジ化で終わるわけではなく、これからまさに大転換の時期を迎えようとしていることが、これらのコメントからも読み取れるだろう。

2.メディアは利用者の「気持ち」を受け止める
 テレビに限らず、我々が日常的に接するメディアが将来どのようなものになるか、「みんなで考える情報通信白書」では様々な意見が交わされた。中でも印象的だったのは、技術の進歩によって、さらに進んだ利用者・視聴者とのインタラクションが実現し、メディアの様相が一変するという意見が多かったことである。例えば、表情などから視聴者の気持ちや感情をリアルタイムに読み取り、それにダイナミックに反応する「利用者の感情を理解するメディア」へ進化するとの意見が多く寄せられた。

→ 2020年のメディアは、人間の行動によって常に変化するものになっていくと考えます。ユーザーの行動によってメディアの発信する内容などが変化するようになれば、よりユーザーがメディアと密接になって、より効果的なメディアの使い方ができると思います。
→ テレビを視聴している人のリアクションやエモーションに応じて番組コンテンツが変わっていくようになると思います。例えば、バラエティ番組では、観ている人がどこで笑っているかをテレビが判断し、あまりウケていない芸人やコンテンツはその人に流さないようにする。
→ メディアとスピードの関係が変わると思います。今まで以上に瞬間的にコメントや反応を返せるようになり、よりインタラクティブなものになっていくのでしょう。さらにスピードの速い、表情、心拍数など、人の感情を読み取ることで、テレビは敏感に視聴者との関係を操作し、築いていくのではないでしょうか。

3.メディアは「共感」をつないで進化する
 もうひとつ、「みんなで考える情報通信白書」で指摘されたのは、メディアが果たす役割や、メディアと利用者との関係、あるいはメディアに関わる人の役割分担が大きく変わっていくということである。ブログやSNS等のCGMの隆盛によって、インターネットの世界は、誰もが情報発信者となる参加型・協業型のメディアへと大きく変貌した。この流れがさらに進んで情報の作り手と受け手の区別がなくなり、メディアの役割も変化するという意見である。

→ 2020年。全ての子どもがデジタル教科書で学び、アニメを作れるようになっています。
→ コンテンツの作り手がとめどもなく分散している社会になるといいですね。メディアは本来の「媒体」の役割に特化していくのではないでしょうか。
→ 4マス媒体の影響力が低下し、ネットの力が強まりつつある中で、消費者とメディアの協業によるコンテンツ制作が、今後益々重要になってくると感じた。

 利用者のメディア参加の形もどんどん進化している。文章や映像等のコンテンツ投稿に加えて、Facebookの「いいね!」ボタン等では、利用者が感じた「共感」を簡単に情報発信することが可能になった。前述した「利用者の気持ちを受け止めるメディア」では、利用者はさらに簡単に自らの感情や共感を情報発信者に伝えることができるはずである。将来のメディアでは、これらの感情、共感等が一種の重要なコンテンツとして自在にやりとりされるようになるだろう。メディアの将来像として、情報やコンテンツの発信者に対し、瞬時に利用者の様々な感情、共感、評価などがフィードバックされ、そこからさらに新しいコンテンツやサービス等が生み出されるという、極めてダイナミックな姿がイメージできる。

→ 作り手と受け手とのコミュニケーションを媒介するのがメディア。作品と共感を最大化するために、ずっとデザインし続けるべきものがメディアだと思います。
→ コンテンツとは、人の想い・熱・愛といったアナログ・ナマのリアリティを持ち、人々の共感を引き出し、人々をエンパワーするもの。これらを具備すれば、形式は問わない。
→ 個々人がメディアとなり、様々なメディアを駆使して主張し活動していくこと、またそれを評価していくこと。そして、その評価を通じてムーブメントを作りだしていくことが大切だと感じました。

4.メディアは一人ひとりにフィットする
 将来のメディアが、前述したように常に変化し続けるダイナミックなものだとすると、人々がそれをどこまで使いこなせるのかが問題になる。一歩間違えば、一般利用者にとって使いにくいマニアックなものになり、ガラパゴス化してしまう恐れもある。
 この課題に対して、「みんなで考える情報通信白書」では、メディアが利用者一人ひとりに合わせて簡単にカスタマイズできる、あるいは利用者の反応や感情を受け止めてメディアが一人ひとりに合わせたサービスを提供することによって問題解決できるのではという意見をいただいた。

→ 個々のICTサービスは汎用性を高くし、それらを組み合わせて(連携させて)自分の生活スタイルにあった利活用をする時代になるのではないでしょうか。ICTサービスを自分のライフスタイルに合わせてカスタマイズ・利活用していくだけでも、人々の生活・社会は劇的に変わっていくと思います。

 特に、日本では高齢化が急速に進む中、高齢者や障害者が使いこなせるメディアづくりは重要な課題である。将来のメディアがダイナミックでわくわくするものであるほど、同時に「人にやさしいメディア」であることも求められる。

→ 障害者や高齢者の中に「情報通信機器やサービスの進化についていけない」という声をよく耳にします。折角苦労して使い方を覚えたのに、バージョンアップして使うのが大変になったと感じた人は多いのではないでしょうか?「誰でも使える未来のメディア」は、経済成長の追及とデジタル・ディバイドの解消の両面から、ユニバーサルなメディアとして進化してほしいと思います。
→ 新メディアになじみにくい方々の問題は重要だと思います。まず、これらの方々は何故なじみにくいのか、その理由を分析する必要があると思います。


7 寄せられたご意見については、情報通信白書ホームページに掲載している。

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