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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 ICT国際展開がけん引する成長のポテンシャル

(5)ICT関連産業・市場


ア ハードウェア・サービス別にみたICT輸出
 世界における日本のICT関連の輸出状況について、ハードウェア及びサービスそれぞれGDP比でみると、日本は、前述した国内市場の存在が一因となっているほか、製造業の国際的な工場の最適配置の進展等から、ハードウェア・サービスともに輸出比率が特に低い(図表1-3-1-16)。ICTハードウェアについては、韓国・中国・イスラエル等のアジア・中東勢のポジションが目立つ一方、ICTサービスについては、欧州勢のポジションが目立つ。

図表1-3-1-16 ハードウェア・サービス別にみたICT輸出の状況
図表1-3-1-16 ハードウェア・サービス別にみたICT輸出の状況のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

イ 移動体通信産業の規模と成長性
 情報通信産業の売上規模を比較すると、日本は移動体通信産業の比率が圧倒的に高く、加入者一人当たり収入の大きさも他国を抑えて第1位となっている(図表1-3-1-17)。また、2007年(平成19年)〜2009年(平成21年)の3年間において加入者当たり収入の年平均成長率がプラスであったのは、調査対象国のうち日本、米国及びスイスの3か国しか存在しない。
 移動体通信産業の規模と成長性といった市場としての魅力度が日本の強みとなっていることがうかがえる。

図表1-3-1-17 移動体通信産業の売上比率と加入者当たり収入の成長率
図表1-3-1-17 移動体通信産業の売上比率と加入者当たり収入の成長率のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

ウ 消費者洗練度・国内市場規模
 国内で新たな産業を創造する基盤がどれほどのポテンシャルを有するのか評価する指標として、自国内で得られる市場機会の大きさを表す「国内市場規模」、新たな商品開発のニーズ等を引き出し得るユーザーの能力の高さを表す「消費者洗練度10」を取り上げて分析を行った。各国の国内市場と消費者の特性を分析すると、日本の消費者洗練度は国際的に見て高く評価されており、また国内市場規模も米国、中国に次いで大きい(図表1-3-1-18)。特に、後者の国内市場規模の大きさは、日本の通信事業者や端末メーカーが競争力のある新サービス・機器を創出する際に有利な環境となっている。後述するインターネットサービスの市場化における我が国の優位性も、このような国内の基盤が存在してはじめて実現されたものと推察される。

図表1-3-1-18 消費者洗練度と国内市場規模
図表1-3-1-18 消費者洗練度と国内市場規模のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)

エ インターネットサービスの市場化
 インターネットサービスの市場化の状況について、メディア面の利用状況をもとに、インターネット広告の規模、インターネット音楽配信の規模及びオンラインゲーム市場の規模とを取り上げて各国を比較する。日本は他国に先駆けてインターネット広告やインターネット音楽配信の市場の成長で先行し、現在においても調査対象国中上位の規模を有する市場を維持しているものの、英国、韓国や米国など他国の追い上げを受けている状況がうかがえる(図表1-3-1-19)。特定の市場分野ではあるがインターネットサービス産業を早期に成長させ、その規模を現在でも維持している点は、日本の強みとして一定の評価をすることができるものの、市場の成長という意味では課題が見られる。

図表1-3-1-19 インターネット広告、インターネット音楽配信及びオンラインゲーム市場の状況
図表1-3-1-19 インターネット広告、インターネット音楽配信及びオンラインゲーム市場の状況のグラフ
(出典)総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)


10 「消費者洗練度」は、世界経済フォーラム(WEF)の“The Global Competitiveness Report”中、「Buyer sophistication (消費者洗練度)」による。具体的には、世界経済フォーラムが実施した消費者の消費時の判断基準に関するアンケート調査結果に基づく。7段階で評価しており、「1」は価格水準のみに基づく選択、「7」は機能に関する深い洞察に基づく選択。
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