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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第3節 ICT国際展開がけん引する成長のポテンシャル

(4)ICTシステム海外展開に向けた総務省の取組


 総務省においては、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合22等の政府全体での各種取組などと連携し、防災や環境分野の課題に対応するICTシステムや地上デジタルテレビ放送日本方式など我が国が強みを有するICTシステムの海外展開等を積極的に進めている(第5章第7節参照)。以下、成長性のある市場であるASEAN諸国に対して現在進めている取組事例について紹介する。

ア 取組事例:災害対応ICTシステム(インドネシア等)
 災害対応ICTシステムは、情報の収集、処理、住民への伝達を一貫して行うことを可能とするシステム(図表1-3-4-7)で、多くの災害に見舞われるASEAN域内では高いニーズが見込まれる。当該システムのASEANへの導入の推進は、単に我が国企業の海外展開支援の観点のみならず、これまでに我が国が蓄積してきた貴重な知見・ノウハウの共有を目指すものであり、その社会的意義は極めて大きいものと考えられる。また、当該システムにより、緊急時のみならず平時にも利用可能な多面的なシステムの活用を提案している。
 2011年度(平成23年度)には、インドネシアにおいて実証実験及び調査研究を実施し、今後、同国での早期の実システムの導入を目指している。また、3,500億バーツ(約9,000億円)を治水対策予算として閣議決定したタイなど災害に見舞われることの多いその他ASEAN諸国においても当該システムの導入を目指して各種取組を開始しているところである。

図表1-3-4-7 災害対応ICTシステムのイメージ
図表1-3-4-7 災害対応ICTシステムのイメージの図

イ 取組事例:太陽光パネルとワンセグを用いたデジタル・ディバイド解消プロジェクト(インドネシア)
 広大な国土を持つインドネシアでは、島嶼部等におけるデジタル・ディバイドが大きな問題となっており、同国政府ではその解消のため様々なプロジェクトを実施している。
 我が国では、同プロジェクトへの支援の一環として、太陽光パネルとワンセグを活用したシステム(コミュニティワンセグ)を提案している(図表1-3-4-8)。これは、ワンセグの持つ省電力性、低価格、運用実績等の特徴を活用し、へき地における情報伝達の手段を確保するものである。このシステムは、教育、保健医療など、幅広い分野での利活用が期待されるほか、災害時の住民への情報伝達にも極めて有効と考えられる。
 2011年度(平成23年度)にインドネシアの無電化村で実証実験を実施したほか、2012年(平成24)年5月にはインドネシア訪問中の松崎総務副大臣と同国政府との間で本分野における協力を推進する文書を交換し、今後同国での導入を目指した具体的な活動を行う予定としている。なお、デジタル・ディバイドの解消はASEAN諸国に共通する重要課題であることから、本システムのような我が国のICTを活用した課題解決型モデルへのニーズは高く、各国への展開活動を充実していくことが求められている。

図表1-3-4-8 コミュニティワンセグシステム概要
図表1-3-4-8 コミュニティワンセグシステム概要の図

ウ 取組事例:センサーネットワーク/グリーンICTシステム(ベトナム等)
 センサーネットワークは、各種センサーで収集した情報を保存・管理・蓄積し、リアルタイムな状況把握や時系列分析による推測を実現することにより、環境や防災分野等の課題解決に貢献するICTシステム(図表1-3-4-9)である。当該システムは、「環境」「生産・物流管理」「設備管理」「交通基盤」「都市開発」等幅広い分野での活用が可能であり、新興国の経済成長へ相当程度寄与するとともに、国民生活の大幅な向上をもたらすことが期待されるため、ASEAN諸国をはじめとする新興国において高いニーズが見込まれる。
 2011年度(平成23年度)には、ベトナムにおいて実証実験及び調査研究を実施し、今後、同国において実システムの早期導入に向けた取組を推進する予定としているほか、タイなど他のASEAN諸国への展開も目指しているところである。

図表1-3-4-9 センサーネットワークのイメージ
図表1-3-4-9 センサーネットワークのイメージの図


22 パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合:政府全体としてアジアを中心とする旺盛なインフラ需要に対応して、インフラ分野の民間企業の取組を支援し、国家横断的かつ政治主導で機動的な判断を行うため開催されている会合。2012年(平成24年)4月までに分野別、国別テーマにより14回の会合が開催。
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