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第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第1節 「スマート革命」 ―ICTのパラダイム転換―

(3)ビッグデータの活用事例


 ビッグデータの活用は、既に我が国においても一部企業において始まっており、具体的な成果をあげつつある。ここでは、情報通信審議会基本戦略ボード・ビッグデータの活用に関するアドホックグループのヒアリングで紹介された具体的事例として、本田技研工業の例等を紹介する。

ア 本田技研工業の例
 同社では、ドライバーの快適なカーライフを実現するため、より安全で環境にも配慮したドライブ情報ネットワークとして、安全・安心、防災、天気、省燃費ルート等の情報を提供する「internavi」を2002年(平成14年)からサービス提供開始し、2012年(平成24年)5月現在、会員数は145万人に達している。
 同サービスでは、2003年(平成15年)に、会員から5分毎の間隔で収集した装着車の走行データ(Floating Car Data:FCD)の共有により、渋滞を回避し、目的地へより早いルート案内を行う「フローティングカーシステム」を導入している。これにより、主要幹線を対象とするVICS(Vehicle Information & Communication System)を補完し、現在、毎月1億kmのデータがアップロードされている。2012年(平成24年)5月末現在、蓄積した走行データは25億kmに達している。
 本システムによる効果としては、例えば以下の効果が挙げられる(いずれも同社からの提供情報)。
 ①VICSとFCDを融合した渋滞予測による効果検証結果(東名阪100サンプルのシミュレーション)では、約20%早いルートが案内され、CO2換算では約16%の削減効果があった。
 ②埼玉県の道路行政の取組において、FCDより急ブレーキポイントの多発地点を抽出し、街路樹の剪定や路面表示により、急ブレーキ回数が約7割減少した。
 ③2006年(平成18年)のNPO法人防衛推進機構の研究への協力により、2007年(平成19年)の新潟県中越沖地震、2008年(平成20年)の岩手・宮城内陸地震において、FCDを活用した通行実績マップが生成・公開された。また、平成23年3月の東日本大震災においては、同マップを翌朝公開するとともに、GoogleやNPO法人ITS-Japanをはじめ、各種行政機関や研究機関にも提供し、活用された。
 東日本大震災での取組としては、このほか、①津波警報と地震情報や首都圏の通行止め状況のカーナビ画面への配信、②地震時の位置情報付の家族へのメールによる安否連絡、③国土交通省河川局が設置した11か所の浸水センサー観測値のカーナビやスマートフォンへの配信等が実施された。
 また、目的地への走行ルート等と財団法人日本気象協会から提供される凍結予測等の気象情報との連携により、路面凍結発生の予測時刻や予測時点等のカーナビ画面への表示・音声警告等の気象・減災情報を提供している。
 加えて、車両内のセンサーから収集している燃料噴射量のデータ活用により、例えば、燃費のよいルートの探索・予測や車両の制御等が可能となっている。また、アメリカの車種では、車載のCAN(Controller Area Network)による故障データ等の活用により、故障部位のディーラーや顧客への連絡等を実施するまでに至っている。

図表2-1-4-4 「インターナビ」の交通情報
図表2-1-4-4 「インターナビ」の交通情報の図
情報通信審議会ICT基本戦略ボード「ビッグデータの活用に関するアドホックグループ」資料により作成

イ その他の取組事例
 情報通信審議会基本戦略ボードで紹介された他の取組事例は図表2-1-4-5のとおりである。

図表2-1-4-5 その他の取組事例
図表2-1-4-5 その他の取組事例の図
(出典)情報通信審議会ICT基本戦略ボード資料
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