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第2部 情報通信の現況と政策動向
第7節 国際戦略の推進

(2)ICT海外展開のための環境整備


 ICT海外展開のための環境整備として、総務省は、サイバー空間に関する国際的なルールづくり(第2章第1節参照)、国際協力の推進、戦略的国際標準化の推進、デジタルコンテンツの流通促進(第5章第4節参照)及びサイバー攻撃のための国際連携に取り組んでいる。

ア 国際協力の推進
 情報通信ネットワークは、経済発展、雇用拡大、国民生活の向上等を実現する上で重要な役割を果たすインフラである。開発途上国においては、国際的な情報格差(デジタル・ディバイド)が存在しており、開発途上国を含めた世界的な情報通信ネットワークの整備の必要性が高まってきている。
 総務省としても、ICT分野の人材育成支援、国際的なデジタル・ディバイドの解消のためにグローバルな協力を推進する国際機関・地域機関への支援等を実施するとともに、外務省の実施するODA(政府開発援助:Official Development Assistance)や独立行政法人国際協力機構等と協力し、開発途上国におけるICT分野の持続的発展に貢献している(図表5-7-1-2)。

図表5-7-1-2 ICT分野のODA案件リスト(2011年度(平成23年度)実施案件)
図表5-7-1-2 ICT分野のODA案件リスト(2011年度(平成23年度)実施案件)の表

イ 戦略的国際標準化の推進
 情報通信分野では、技術開発のスピードの加速化や製品・サービスの高度化が急速に進展しており、国際標準化活動においても、標準策定に要する時間が比較的短い民間主体のフォーラム等で標準が策定され、そこで策定された標準をデジュール標準化機関で追認する例がみられるようになっている。
 総務省では、こうした標準化を取り巻く環境の変化を踏まえ、中長期的な研究開発戦略や諸外国の政策等を踏まえた標準化の重点分野の在り方や標準化を促進する際の官民役割分担の在り方について情報通信審議会に諮問し、平成23年7月に中間答申1を受けた。
 この中間答申では、標準化重点分野の取りまとめに加え、官民の役割分担に関して、デジュール標準については政府自ら主体的に議論に参加するとともに、我が国の国内関係者が基本認識を共有して活動できる環境を整備することの必要性が指摘されている。また、フォーラム・団体標準については、民間企業等が主体的に標準化活動を推進することが望まれるが、国の役割として、産学官関係者が戦略を共有する場の設置や国際標準化機関会合の日本招致等の支援が期待されている。
 この中間答申を踏まえ、重点分野の一つであるスマートグリッドについては、エネルギーマネジメントの実現に必要な設備の整備支援を行う「スマートグリッド通信インタフェース導入事業」を通じて国際標準化活動を推進していく予定である。
 なお、情報通信審議会では、中間答申を踏まえ、同審議会の情報通信政策部会に設置されている「情報通信分野における標準化政策検討委員会2」で引き続き議論を進めており、平成24年6月から意見募集を実施した。

ウ サイバー攻撃対処のための国際連携
 総務省は、我が国におけるサイバー攻撃(DDoS攻撃等、マルウェアの感染活動)に対処し、そのリスクを軽減するため、国内外のインターネットサービスプロバイダ、大学等との協力によりサイバー攻撃に関する情報を収集するネットワークを国際的に構築し、諸外国と連携してサイバー攻撃の発生を予知し即応を可能とする技術の研究開発及び実証実験に取り組んでいる(第2章第1節参照)。


1 情報通信審議会からの中間答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_01000018.html
2 情報通信分野における標準化政策検討委員会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/bunya/index.html
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