総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 医療分野におけるICT利活用に向けた取組〜遠隔医療
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTイノベーションによる「課題解決力」の実証

(6)医療分野におけるICT利活用に向けた取組〜遠隔医療


ア 遠隔医療の推進
 地域医療の充実に資する遠隔医療技術の活用方法及び推進方策について検討するため、平成20年3月から、総務大臣及び厚生労働大臣の共同懇談会である「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」を開催している。平成20年7月に公表された「中間取りまとめ」において、遠隔医療の位置づけの明確化、診療報酬の適切な活用が提言され、厚生労働省と連携しながらエビデンスの収集・蓄積を行ってきたところである。また、「規制・制度改革に係る対処方針」(平成22年6月18日閣議決定)を受け、厚生労働省において、遠隔医療の実施可能範囲等を明確化するため、平成23年3月に、遠隔医療関連通知を改正した。今後も、遠隔医療の普及・推進に向けた取組を行っていく。

イ 遠隔医療の取組事例(北海道・旭川医科大学病院等)
 近年、医師不足や専門医不足が全国的な問題となっており、北海道においても医師の偏在化に伴う医療過疎の問題が日々深刻さを増している。旭川医科大学病院遠隔医療センターでは、この問題を解決するため同大の専門医が地域の拠点病院の医師に対して伝送画像に基づく遠隔診断支援を平成6年から実践してきた。
 これにより、専門医不在の地域においても高度な医療サービスを提供することが可能となり、また、都市部との医療サービス水準の格差が是正される。さらに、このような取組を他の地域にも展開すれば、全国的な医師不足・専門医不足の問題解決に貢献できると考えられる。
 そこで、平成20年、総務省地域ICT利活用モデル構築事業(遠隔医療モデルプロジェクト)に北海道が採択されたことを受け、旭川医科大学病院が実施している拠点病院間との遠隔医療を地方病院や診療所にまで拡大し、眼科を中心に、TV会議システム等の画像伝送を中心として、専門医と看護師等のコメディカルとの間の遠隔医療や支援や患者に対する切れ目のない医療支援体制を確立するための地域の拠点病院や診療所との連携による在宅療養支援を実施した。
 具体的には、TV会議システム等の画像伝送を主体とした遠隔医療の有効性や実用性はもとより、専門医と看護師等コメディカルとの間の遠隔医療支援、患者に対する切れ目のない医療支援体制を確立するための地域の拠点病院や診療所との連携による在宅療養支援の有効性等について検証を実施した。
 その上で、旭川医科大学病院が、眼科と放射線科を対象に、遠隔医療が患者・医療機関・地域にもたらす経済効果を試算したところ、眼科の遠隔医療の経済効果として、合計13.6億円/年、放射線画像診断の経済効果として、合計18.7億円/年と試算された(図表1-4-8-9)。
 この成果も受け、北海道では、旭川医科大学を中心とする北海道遠隔医療普及推進協議会がその後、道内12医療機関と遠隔医療ネットワークで結び、眼科、脳卒中、放射線、病理の4分野での遠隔医療支援を開始するなど、遠隔医療の推進に向けた取組が進められている。

図表1-4-8-9 経済効果の試算結果(眼科・放射線読影)
図表1-4-8-9 経済効果の試算結果(眼科・放射線読影)の表
(出典)旭川医科大学 資料
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