総務省トップ > 政策 > 白書 > 24年版 > 教員の事務負担軽減に向けた取組事例(沖縄県宮古島市)
第1部 特集 ICTが導く震災復興・日本再生の道筋
第4節 ICTイノベーションによる「課題解決力」の実証

(3)教員の事務負担軽減に向けた取組事例(沖縄県宮古島市)


 沖縄県宮古島市では、沖縄県のほぼ中央に位置し、大小6つの島々からなる。このような地域特性から、小中学校についても、学校数が多く、広範囲に、そして海を隔てて離島にも分布しており、連絡調整等が課題であったという。同市では、学校での校務効率化を図るために、平成22年4月には市内小中学校において、校務用パソコンの1人1台設置など取組を進めてきたところであったが、この校務用パソコンの活用により、情報の共有・連携の強化、校務の軽減によって、教師が子どもと向きあう時間を増やし、教育の質の向上ができないか、検討を行っていたという。
 そこで、平成22年度、総務省の「ブロードバンド・オープンモデル実証事業」に参加、校務支援システムをクラウドにより活用する実証実験を実施し、校務文書の共有や児童・生徒の成績管理、出欠管理など実際の校務を行うことで、業務の効率化や情報共有の有効性を検証した(図表1-4-7-2)。

図表1-4-7-2 ブロードバンド・オープンモデルによる小・中学校教員の事務軽減
図表1-4-7-2 ブロードバンド・オープンモデルによる小・中学校教員の事務軽減の図

 その結果、クラウドを活用することにより、各学校への新規サーバー設置等を行うことなく、自前のシステムを構築するより少ない予算で、校務支援システムを導入することができ、しかもサーバー管理の人材なども必要ないという利点があったという。
 教育現場においては、出席管理や成績処理などの校務が負担となっていたが、校務支援システムの利用により、その軽減が期待される結果となった。例えば、利用者への事前アンケートにおいて、校務の各作業に対する負担感を聞いたところ、成績処理関連業務では、指導要領への記入や通知表への記入などの負担感が大きいとする回答が多かった(図表1-4-7-3)。しかし、事後アンケートにおいては、継続してシステムを利用した際の変化として、負担が軽減されると思うという回答が半数弱に及んでいる(図表1-4-7-4)。

図表1-4-7-3 校務の各作業に対する負担感(成績処理関連業務)・事前アンケート
図表1-4-7-3 校務の各作業に対する負担感(成績処理関連業務)・事前アンケートのグラフ
(出典)総務省「ブロードバンド・オープンモデルによる地域課題解決支援システムの検証のうち、小・中学校教員の事務軽減支援の実証実験」(平成23年)

図表1-4-7-4 今後も継続してシステムを利用した場合の校務作業負担の変化(成績処理関連業務)・事後アンケート
図表1-4-7-4 今後も継続してシステムを利用した場合の校務作業負担の変化(成績処理関連業務)・事後アンケートのグラフ
※当該校務を分掌する人のみの回答
(出典)総務省「ブロードバンド・オープンモデルによる地域課題解決支援システムの検証のうち、小・中学校教員の事務軽減支援の実証実験」(平成23年)

 また、実証実験では、校務負担軽減以外の効果として、教職員のセキュリティ意識やICT活用スキルの向上、教育委員会を含めた迅速で確実な情報共有・コミュニケーション機会の増加が期待でき、システム導入に対する不安の多くは、実際にシステムを利用することで軽減されることもわかった。
 同実証実験後、宮古島市においては、正式にクラウドによる校務支援システムが導入され活用が進められている。
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