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令和5年 情報通信に関する現状報告の概要
令和5年 情報通信に関する現状報告の概要

令和5年 情報通信に関する現状報告の概要

第1章 通信インフラの高度化とデータ流通の進展

  • 通信インフラの高度化やデジタルサービスの多様化等に伴い、データ流通も進展
  • インターネット普及初期の頃はホームページ閲覧など片方向のデータの流通が中心(Web1.0)。2000年代に入り、SNS等の普及により、不特定多数のユーザ間での双方向のデータのやり取りが進展(Web2.0)
(出典)総務省作成

第1節:データ流通を支える通信インフラの高度化

  • 固定通信ネットワークは、2001年にFTTH (Fiber To The Home)サービスが開始され、2000年代後半に従来のADSLからの乗り換えが進展。2008年にはFTTHが総契約数においてDSLを抜き、現在までFTTHサービスが主流
  • 移動通信ネットワークは、1979年に第1世代となるサービスの開始以降、2020年に開始された第5世代に至るまで約10年周期で世代交代が行われ、大容量化・高速化の方向で進化が継続

第2節:データ流通とデジタルサービスの進展

  • 1995年のWindows95の発売以降、我が国でもインターネットが急速に普及し、その後、データ流通・利活用は幾つかのステージを経て進化
  • インターネット普及初期の頃(1990年代半ば〜2000年代半ば)は「Web1.0」と称され、ホームページの閲覧、電子メールでのメッセージの送信等、片方向の情報・データの流通が中心
  • 2005年前後のSNS、動画投稿サイトなどの登場、その後のスマートフォンの急速な普及により、利用者も自らが情報発信の役目を担うように変化。この不特定多数の利用者の間で情報が相互に行き交う双方向の情報の流れが進んだ時期は、「Web2.0」と称される

第2章 データ流通・活用の現状と課題

第1節:加速するデータ流通とデータ利活用

  • 我が国の企業でもパーソナルデータの活用が進展する一方、諸外国の企業と比較するとその活用状況は低調
  • パーソナルデータ活用の課題・障壁として、我が国では「データの収集・管理に係るコスト」や「データの管理に伴うリスクや社会的責任の大きさ」を挙げる企業が多い
企業におけるパーソナルデータの活用状況
(出典)総務省(2023)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」及び総務省(2020)「データの流通環境等に関する消費者の意識に関する調査研究」を基に作成
パーソナルデータ活用における障壁・課題
(出典)総務省(2023)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

第2節:プラットフォーマーへのデータの集中

  • SNS、e-Commerce、検索等、プラットフォーマーの提供するサービスは我々の生活の利便性向上に貢献
  • 一方、プラットフォーマーはサービスの提供等を通じて膨大なデジタルデータを収集・蓄積。これらを活用した広告ビジネス等によりデジタル関連市場で強大な経済的地位を確立
アプリケーション別モバイルデータトラヒックの割合
(出典)SANDVNE「PHENOMENA(THE GLOBAL INTERNET PHENOMENA REPORT JANUARY 2023)」を基に作成
プラットフォーマーが取得するデータ項目
(出典)Security.org「The Data Big Tech Companies Have On You」より、一部抜粋して作成
主要プラットフォーマーの売上高の推移
(出典)Statistaデータを基に作成
売上高の内訳(2022年)
(出典)各社公表資料を基に作成
  • SNS、検索などプラットフォーマーの提供するデジタルサービスは我々の生活の利便性向上に貢献する一方、一定数のユーザは、サービス利用時にプラットフォーマーへパーソナルデータを提供することについて不安を感じている
  • プラットフォーマーへパーソナルデータを提供する際に重視する点について、我が国では、「十分なセキュリティの担保」、「データの利用目的」、「適切なデータの取扱い方法」を挙げるユーザが多い
パーソナルデータ提供への不安感の有無
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
パーソナルデータ提供時に重視する項目・条件
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」

第3節:インターネット上での偽・誤情報の拡散等

  • SNS等プラットフォームサービス上では、その特性(例:アテンション・エコノミー、アルゴリズム)により、自分と似た意見にばかり触れてしまうようになる(エコーチェンバー)、自分好みの情報以外が自動的にはじかれてしまう(フィルターバブル)等、「情報の偏り」が生じやすい
  • SNS等の普及により、利用者が様々な情報を容易に入手・発信可能となる一方、誹謗中傷や偽・誤情報の流通・拡散の問題も顕在化AI・ディープフェイクの普及により、偽画像・動画の拡散が加速するおそれ
違法・有害情報センターへの相談件数の推移
(出典)総務省「令和4年度インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等請負業務報告書(概要版)」
インターネット上の偽・誤情報への接触頻度
(出典)総務省「令和3年版 国内外における偽情報に関する意識調査」
AI・ディープフェイクを利用した偽・誤情報の事例(1)
(出典)各種ウェブサイトを基に作成
AI・ディープフェイクを利用した偽・誤情報の事例(2)
(出典)Spectee「静岡災害デマ、画像生成AIの急速な進化がもたらす新しい時代」(2022.09.28)
  • SNS等では自分に近い意見や考え方等が表示されやすい傾向があることについて知っている(「よく知っている」と「どちらかと言えば知っている」の合計)と回答した割合は、欧米と比較すると低い。また、我が国について年代別に見ると、50歳代及び60歳代では他の年齢層と比較すると低い
  • また、ファクトチェック等の偽・誤情報に関連した取組の認知度も他国と比較すると低い状況
SNS等では自分に近い意見が表示されやすいことの認識
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
ファクトチェックの認知度
(出典)総務省「令和3年版 国内外における偽情報に関する意識調査」

第3章 データ流通・利活用を巡る新たな潮流

第1節:データ流通・活用の新たな潮流

  • データ流通の新たな潮流として、ブロックチェーンを活用したデータの流通・分散管理をベースとする「Web3」、その応用技術(例:分散型自律組織(DAO))が登場
  • 通信ネットワークやXR技術等の高度化に伴い、メタバースやデジタルツインを活用した新たなサービスが登場し、国民の認知度も向上しつつある。エンターテイメントのみならず、教育、地域活性化、インフラ管理、防災、農業等でも活用
  • 進化の著しい生成AIについても、対話型言語モデル「Chat GPT」、テキストを入力すると画像を生成する「プロンプト型画像生成AI」などが登場
メタバースの認知度(国際比較)
(出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」
メタバース活用事例
◇東京大学メタバース工学部
(出典)東京大学
デジタルツイン活用事例
◇バーチャル静岡
(出典)静岡県

第2節:豊かなデータ流通社会の実現に向けて

  • データを活用した多様なデジタルサービスは我々の生活に深く浸透。Web3の応用技術やメタバース等の新たなサービスも注目を集めており、地域活性化、防災等の我が国が抱える様々な社会的・経済的課題解決に貢献すると期待
  • データの安全かつ適正な流通を促進し、データ利活用の恩恵を誰もが享受できる社会の実現に向けた取組の推進が重要

データ流通・利活用を巡る取組

〈データ流通を支える強靱な通信ネットワーク〉

  • 非常時でも継続的にデジタルサービスを利用できる環境の実現に向けて、災害に強い通信ネットワークの構築、代替手段の確保(例:事業者間ローミング、非地上系ネットワークの活用)
  • 災害に対するレジリエンス向上等の観点から、データセンターや海底ケーブル等の立地分散化を推進
  • 国際情勢が複雑化する中、経済安全保障の観点から、サイバーセキュリティやサプライチェーンリスクへの対応を強化

〈超高速・超大容量のデータ流通を支えるBeyond 5Gの早期実現〉

  • メタバース等の新たなサービスの普及、データ主導型のSociety5.0の実現に向けて、超高速・超大容量・超低遅延のデータ流通を可能とするBeyond 5G(6G)に向けた取組を強化・加速
  • 地球温暖化等環境問題が深刻化する中、超低消費電力でのデータ流通を可能とするBeyond 5Gの早期実現が必要

〈標準化・国際ルール形成への貢献〉

  • 国境のないデジタル空間では、国際社会と連携して標準化やルールを推進・形成していくことが重要
  • 普及・進化が著しいAIについては、G7広島サミットで立ち上げられた「広島AIプロセス」G7デジタル・技術大臣会合で合意されたアクションプラン等に基づき、各国と連携してAIの利用環境整備等を推進
  • メタバースについては、メタバース間の相互運用性の実現、関連技術の国際標準化等に向けた取組を促進

〈豊かかつ健全な情報空間の実現〉

  • 玉石混交のデータ・情報が流通するインターネット空間において、国民一人一人が、適切に情報を受発信したり、AI等の新たなツール・サービスを正しく活用したりするためのリテラシーの向上
  • 表現の自由に配慮するとともに、透明性を確保した上で、情報の媒介者であるプラットフォーム事業者を含めた幅広い関係者による自主的取組(例:ファクトチェック、研究開発)の促進

第4章 ICT市場の動向

第5章 総務省におけるICT政策の主な取組状況

総合的なICT政策の推進

デジタル田園都市国家構想の推進

  • 構想の実現に向け、「ハード・ソフトのデジタル基盤整備」、「デジタル人材の育成確保」、「誰一人取り残されないための取組」等の取組を加速
  • 「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(改訂版)」に基づき、光ファイバ、5G等デジタル基盤の整備を強力に推進

2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方に関する検討

  • 情報通信審議会 情報通信政策部会 総合政策委員会で、我が国の情報通信産業の国際競争力と安全安心な利用環境の確保の視点から、予想される2030年の未来の姿からのバックキャストを行い、10年後の情報通信政策のあるべき方向性等について議論し、2023年6月、「2030年頃を見据えた情報通信政策の在り方」最終答申を取りまとめ、公表

電気通信事業政策

デジタルインフラの整備・維持、安心性・信頼性の確保

  • 「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の目標達成(光ファイバ世帯カバー率(2027年度末):99.9%)に向けた光ファイバの整備、「デジタルインフラ整備基金」によるデータセンターや海底ケーブルの地方分散の支援等を実施。また、「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を開催し、非常時における携帯電話事業者間のネットワーク相互利用等に関する検討を実施。

安心・安全な利用環境の整備

  • 消費者保護ルールの整備、インターネット上の違法有害情報や偽・誤情報への対応等の取組を推進

電波政策

5Gの普及・展開

  • 「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の目標達成(5G人口カバー率(2025年度末):全国97%)に向けて、補助金・税制措置による5Gの普及促進、インフラシェアリングの推進等の取組を実施

放送政策

放送の将来像と放送制度の在り方の検討

  • 「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の提言等を踏まえ、設備の共用化の推進、マスメディア集中排除原則の見直し、複数地域での放送番組の同一化等を可能とするための制度整備等を実施

放送ネットワークの強靱化、耐災害性の強化

  • ケーブルテレビの光化による放送ネットワークの耐災害性強化等を通じて、災害時にも情報を確実に届けられる環境の整備を推進

サイバーセキュリティ政策

情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保

  • 国民が安心してICTを利用できる環境を整備するため、IoT機器のセキュリティ確保、電気通信事業者によるC&Cサーバの検知等の取組の促進、サプライチェーンリスク対策に関する取組等を推進

サイバーセキュリティ人材の育成

  • NICTのナショナルサイバートレーニングセンターを通じたサイバーセキュリティ人材育成の取組(CYDER等)を推進

ICT利活用の推進

社会・経済的課題の解決につながるICT利活用の推進

  • ローカル5Gの推進、テレワークの普及促進、教育・医療等におけるICT利活用の推進

誰もがICTによる利便性を享受できる環境の整備

  • 年齢や障害によるデジタルディバイドを解消し「誰一人取り残さない」デジタル化に向けた取組(高齢者等を対象としたデジタル活用支援、情報バリアフリー促進支援等)、ICT活用のためのリテラシー向上に向けた検討・取組等を推進

ICT技術政策

Beyond 5Gに向けた研究開発と実装、国際標準化

  • 次世代情報通信インフラBeyond 5G(6G)の実現に向けて、新たな基金を活用し、我が国が強みを有する技術分野を中心として、社会実装・海外展開を目指した研究開発を強力に推進するとともに、産官学の連携によるBeyond 5G(6G)の国際標準化等推進

ICT国際戦略

我が国のICT分野における国際競争力強化と世界の社会課題解決への貢献

  • 我が国の国際競争力強化と世界的な課題解決への貢献のため、デジタルインフラ等の海外展開、デジタル分野での二国間・多国間における連携(日米、日欧、QUAD、G7、IGF等)等を推進
  • 2023年4月のG7デジタル・技術大臣会合では、議長国である我が国の主導により、「安全で強靭性のあるデジタルインフラ」、「自由でオープンなインターネットの維持・推進」、「責任あるAIとAIガバナンスの推進」等6つのテーマについて議論が行われ、本会合の成果として「G7デジタル・技術閣僚宣言」を採択

郵政行政

デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方の検討

  • 郵便局におけるマイナンバーカードの普及・活用策の検討、行政サービスの窓口としての活用推進、郵便局と地域の公的基盤との連携に関する実証事業等を実施
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