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第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第3節 インターネット上での偽・誤情報の拡散等

(4) 偽・誤情報の拡散

近年、インターネット上でフェイクニュースや真偽不明の誤った情報など(以下「偽・誤情報」という。)に接触する機会が世界的に増加している。2020年の新型コロナウイルス感染症拡大以降は、当該感染症に関するデマや陰謀論などの偽・誤情報がネット上で氾濫し、世界保健機関(WHO)はこのような現象を「infodemic6」と呼び、世界へ警戒を呼びかけた。

また、OECDによると、2021年に欧州に居住する人のうち「インターネット上のニュースサイトやSNS上で偽又は信憑性が疑わしい情報(untrue or doubtful information or content)に接した経験がある」と回答した人は半数以上に達した。なお、このうち、オンライン上の情報の真実性を確認すると答えた人は26%であった7

我が国でもインターネット上の偽・誤情報拡散の問題が拡大している。総務省が2022年3月に実施した調査8では、我が国で偽情報への接触頻度について「週1回以上」(「毎日又はほぼ毎日」と「最低週1回」の合計)接触すると回答した者は約3割であった。また、偽情報を見たメディア・サービスについては、「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)」、「テレビ」、「ポータルサイトやソーシャルメディアによるニュース配信」の順に高くなっており、特にSNSについては5割を超えた。

SNS等のプラットフォームサービスでは、一般の利用者でも容易に情報発信(書込み)が可能で、偽・誤情報も容易に拡散されやすいなどの特性があり、このことがSNSで偽・誤情報と接触する頻度が高い要因の一つであると考えられる。

【関連データ】偽情報を見かけたメディア・サービス

出典:総務省「令和3年度 国内外における偽情報に関する意識調査」

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00027別ウィンドウで開きます(データ集)

アテンション・エコノミーが広まる中で、広告収入を得ることを目的として作成された偽・誤情報が多く出回り、ボット(Bot)などにより拡散・増幅されている。例えば、2016年の米国大統領選挙では北マケドニア共和国の学生が広告収入目的で大量の偽・誤情報を発信していた。また日本でも、ニュースサイトを装って排外主義的な偽・誤情報を流していたウェブサイトがあり、作成者は収入目当てであると取材に答えていた事例がある9

また、近年は、ディープフェイクを活用して作成した偽画像・偽動画が、意図せず又は意図的に拡散するという事例も生じている(図表2-3-1-2)。既にいくつかのワードを入力するだけで簡単にフェイク画像を誰でも作れるようになっており、ディープフェイク技術の民主化が起こっているとの指摘がある10

図表2-3-1-2 最近のディープフェイクの事例
(出典)各種ウェブサイトを基に作成
「図表2-3-1-2 最近のディープフェイクの事例」のExcelはこちらEXCEL

インターネット上において偽・誤情報が流通・拡散することは、利用者が多様な情報をもとに物事を正確に理解し適切な判断を下すことを困難にし、利用者が安心・信頼してデジタルサービスを利用することができなくなる危険がある。また、偽・誤情報の流通により社会の分断が生じ、結果として民主主義社会の危機につながるおそれがあるとの指摘もある11



6 infodemicとは、情報(information)とパンデミック(pandemic)を組み合わせた造語で、真偽不明の噂や偽情報が急速に拡散して社会に影響を及ぼすことを指す。

7 OECD:https://www.oecd-ilibrary.org/docserver/07c3eb90-en.pdf?expires=1675066821&id=id&accname=guest&checksum=4A71EF2A7DBE53A8437167C071FEAFD4別ウィンドウで開きます

8 総務省「令和3年度国内外における偽情報に関する意識調査」

9 総務省総合政策委員会第14回会合 国際大学GLOCOM 山口真一准教授ご発表資料

10 https://www.soumu.go.jp/main_content/000867454.pdfPDF

11 総務省「プラットフォームサービスに関する研究会第二次とりまとめ」(令和4年8月)

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