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第2部 情報通信分野の現状と課題
第5節 サイバーセキュリティ政策の動向

(2) サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤(CYNEX)の構築

我が国のセキュリティ事業者は、海外のセキュリティ製品を導入・運用する形態が主流である。このため、我が国のサイバーセキュリティ対策は、海外製品や海外由来の情報に大きく依存しており、国内のサイバー攻撃情報などの収集・分析などが十分にできていない。また、海外のセキュリティ製品を使用することで、国内のデータが海外事業者に流れ、我が国のセキュリティ関連の情報が海外で分析される一方で、分析の結果として得られる脅威情報を海外事業者から購入する状況が継続している。

その結果、国内のセキュリティ事業者では、コア部分のノウハウや知見の蓄積ができず、また、グローバルレベルの情報共有における貢献や国際的に通用するエンジニアの育成を効果的に実施することが難しくなっている。利用者側企業でも、セキュリティ製品やセキュリティ情報を適切に取り扱える人材が不足している。サイバーセキュリティ人材の育成を含めて我が国のサイバー攻撃への自律的な対処能力を高めるためには、国内でのサイバーセキュリティ情報生成や人材育成を加速するエコシステムの構築が必要である。

総務省では、サイバーセキュリティに関する国内トップレベルの研究開発を実施しているNICTと連携し、NICTが培ってきた技術・ノウハウを中核として、サイバーセキュリティに関する産学官の巨大な結節点となる先端的基盤「サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤」(通称CYNEX(サイネックス)の試験運用を2022年度(令和4年度)から開始しており、2023年度(令和5年度)からは、大学や民間企業等との連携を拡大しながら、情報分析、製品検証、人材育成事業の本格運用を開始する予定である。

【関連データ】サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤(CYNEX)

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00380別ウィンドウで開きます(データ集)

また2023年度(令和5年度)より、「政府端末情報を活用したサイバーセキュリティ情報の収集・分析に係る実証事業(CYXROSS)」について、一部の府省庁に国産セキュリティソフトを導入し、得られたマルウェア情報等をNICTのCYNEXへ集約・分析することで、我が国のセキュリティ対策を強化する取組を開始する予定である。

【関連データ】政府端末情報を活用したサイバーセキュリティ情報の収集・分析に係る実証事業(CYXROSS)

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00381別ウィンドウで開きます(データ集)

この先端的基盤の構築により、我が国のサイバーセキュリティ情報を幅広く収集・分析し、更にその情報を活用して国産セキュリティ製品の開発を推進するとともに、高度なセキュリティ人材の育成や民間・教育機関などでの人材育成支援を行うことが可能となる。これにより、我が国におけるサイバーセキュリティ対策のより一層の強化を目指している。

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