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第2部 情報通信分野の現状と課題
第11節 デジタル活用の動向

(2) 我が国のデジタル・ガバメントの推進状況

ア 国際指標

我が国の公的分野のデジタル化に関する世界での位置付けについて、国際指標に基づいて概観する。

(ア)国連経済社会局(UNDESA)「世界電子政府ランキング」

国連経済社会局(UNDESA)による電子政府調査は、国連加盟国におけるICTを通じた公共政策の透明性やアカウンタビリティを向上させ、公共政策における市民参画を促す目的で実施され、2003年から始まり、2008年以降は2年に1回の間隔で行われている。この調査では、オンラインサービス指標(Online Service Index)、人的資本指標(Human Capital Index)、通信インフラ指標(Telecommunications Infrastructure Index)の3つの指標を元に平均してEGDI(電子政府発展度指標)を出して順位を決めている。

2022年の世界電子政府ランキングでは、前回調査(2020年)に引き続きデンマークが1位であり、2位がフィンランド、3位が韓国、4位がニュージーランド、5位がスウェーデンと続く。日本は14位であり、前回と同順位であるが、スコアは前回調査より上昇した。過去からの推移をみると、日本はおおむね18位から10位の間で推移している(図表4-11-3-3)。

個別指標の順位をみると日本は「e-Participation Index(電子行政参加)」部門において、前回の4位から順位を上げ、1位を獲得した。e-Participation Indexでは、「e-information(情報提供)」「e-consultation(対話・意見収集)」「e-decision-making(意思決定)」という3つの分野の調査結果を基にスコアリングされるところ、日本はInformation 0.9818、Consultation 1.0000、Decision-making 1.0000と、すべてにおいて高い評価を受けている。

デジタル庁によれば12、日本のオープンガバメントは、2011年の東日本大震災を機に急速に取組が進められ、これまでも2位から5位と高い評価を受けていた。今回、オープンデータに関する取組や、意見やアイデアを収集するプラットフォームを活用して国民の皆様と「対話」をする入口を作ったこと、リーダーシップの発揮、寄せられた意見を計画の中に反映したことなどが高い評価につながったという。

図表4-11-3-3 国連(UNDESA)「世界電子政府ランキング」における日本の順位推移
(出典)国連(UNDESA)「世界電子政府ランキング」における日本の個別指標スコア推移(データ集)
(イ)早稲田大学「世界デジタル政府ランキング」

早稲田大学電子政府・自治体研究所は、世界のICT先進国64か国を対象に、各国のデジタル政府推進について進捗度を主要10指標(35サブ指標)で多角的に評価する「世界デジタル政府ランキング」を、2005年から毎年公表している。2022年のランキング総合順位は上位から1位:デンマーク、2位:ニュージーランド、3位:カナダで、日本は前回から一つランクを下げ10位と評価されている。日本の課題と構造的弱点として、コロナ対応で露呈した官庁の縦割り行政、DX(デジタル変革)やスピード感の欠如、電子政府(中央)と電子自治体(地方)の法的分離による意思決定の複雑性、都道府県、市区町村の行財政・デジタル格差の拡大等が指摘されている。

【関連データ】早稲田大学「世界デジタル政府ランキング」における日本の順位推移

出典:早稲田大学電子政府・自治体研究所「世界デジタル政府ランキング」

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00334別ウィンドウで開きます(データ集)

イ データ連携及び認証基盤の整備状況
(ア)マイナンバーカード

マイナンバーカードの普及に向けては、2022年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等において「2022年度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指す」こととされ、マイナンバーカードの活用拡大等の国民の利便性を高める取組や広報等の推進が行われてきた。2023年3月末時点のマイナンバーカードの交付率は67.0%であり、2022年3月末の42.4%から大きく向上している。

【関連データ】マイナンバーカード交付状況

出典:総務省「マイナンバーカード交付状況について」

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00337別ウィンドウで開きます(データ集)

【関連データ】マイナンバーカードの健康保険証としての登録状況推移

出典:デジタル庁「政策データダッシュボード(ベータ版)」を基に作成

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00338別ウィンドウで開きます(データ集)

【関連データ】公金受取口座の登録状況推移

出典:デジタル庁「政策データダッシュボード(ベータ版)」を基に作成

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00339別ウィンドウで開きます(データ集)

ウ 地方自治体におけるデジタル化の取組状況
(ア)手続オンライン化の現状

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)において、地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続とされている59手続におけるオンライン利用実績は、以下のとおりである(図表4-11-3-4)。

図表4-11-3-4 地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続(59手続)のオンライン利用状況の推移
(出典)総務省「自治体DX・情報化推進概要〜令和4年度地方公共団体における行政情報化の推進状況調査の取りまとめ結果〜」を基に作成13
「図表4-11-3-4 地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続(59手続)のオンライン利用状況の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
(イ)AI・RPAの利用推進

AIの導入済み団体数は、2021年度時点で、都道府県・指定都市で100%となった。その他の市区町村は35%となり、実証中、導入予定、導入検討中を含めると約66%の地方自治体がAIの導入に向けて取り組んでいる(図表4-11-3-5)。機能別にみると、上位3分野(音声認識、文字認識、チャットボットによる応答)はすべての規模の地方自治体で導入が進んでいる。下位4分野(マッチング、最適解表示、画像・動画認識、数値予測)は都道府県レベルでも導入事例が少ないものの、調査開始以降一貫して増加してきている。

図表4-11-3-5 地方自治体におけるAI導入状況
(出典)総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」(令和4年6月27日版)14

【関連データ】地方自治体におけるAI導入状況(AIの機能別導入状況)

出典:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」(令和4年6月27日版)

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00341別ウィンドウで開きます(データ集)

また、RPA導入済み団体数は、都道府県が91%、指定都市が95%まで増加した。その他の市区町村は29%となり、実証中、導入予定、導入検討中を含めると約62%の地方自治体がRPAの導入に向けて取り組んでいる(図表4-11-3-6)。分野別にみると、「財政・会計・財務」、「児童福祉・子育て」、「組織・職員(行政改革を含む)」への導入が多い。

図表4-11-3-6 地方自治体におけるRPA導入状況
(出典)総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」(令和4年6月27日版)15

【関連データ】地方自治体におけるRPA導入状況(RPAの分野別導入状況)

出典:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」(令和4年6月27日版)

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00343別ウィンドウで開きます(データ集)

(ウ)職員のテレワークの実施状況

2022年10月時点で、都道府県及び政令指定都市では全団体で導入済み、市区町村では1,083団体(62.9%)が導入しており、前年の849団体(49.3%)から着実に増加している(図表4-11-3-7)。導入していない理由は、「情報セキュリティの確保に不安がある」、「多くの職員がテレワークになじまない窓口業務等に従事している」との回答が多い。一方、テレワーク導入の効果としては、「非常災害時等における事業継続性の確保」が最も多く(76.5%)、次いで「職員の移動時間の短縮・効率化」、「仕事と家庭生活を両立させる職員への対応」があがった。

図表4-11-3-7 職員のテレワーク導入状況
(出典)総務省「地方公共団体におけるテレワーク取組状況」を基に作成16
「図表4-11-3-7 職員のテレワーク導入状況」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


12 デジタル庁Data strategy team「日本はなぜ国連のe-Participation Indexで世界1位なのか」(2022年10月4日)(https://data-gov.note.jp/n/nb11a924f4f00別ウィンドウで開きます

13 https://www.soumu.go.jp/denshijiti/060213_02.html別ウィンドウで開きます

14 https://www.soumu.go.jp/main_content/000822108.pdfPDF

15 https://www.soumu.go.jp/main_content/000822108.pdfPDF

16 総務省「地方公共団体におけるテレワーク取組状況」(令和元年10月1日時点、令和2年10月1日時点、令和3年10月1日時点、令和4年10月1日時点)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000853597.pdfPDF

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