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第2部 情報通信分野の現状と課題
第1節 ICT産業の動向

(5) ICT分野における新たな技術の研究開発例:光電融合技術によるGreen of ICT

デジタル化の進展等により、通信ネットワーク設備やデータセンターなどの電力消費量は著しい増加傾向にある。地球温暖化が深刻化する中で、新たな技術の開発・導入によるICT関連機器・設備の省電力化により、グリーン社会の実現に貢献することが求められている。オール光ネットワーク19のキー・テクノロジーである「光電融合技術」は、従来、電気で行なっているコンピューターの計算を、光を用いた処理に置き換える技術である。光は、電気に比べてエネルギー消費が小さいという特徴があるため、大幅な省電力化を実現すると期待されている。

しかしながら、光から電気への変換処理には部品の追加が必要になり、その分だけ余計に電気を消費してしまうため、このような電気消費量が前述の省電力化の効果を上回ってしまえば、全体として省電力化は達成されないこととなる。

この課題解決に役立つ素子として、近年、半導体として使われるシリコンなどに極めて小さい穴を開けた「フォトニック結晶」が開発された。計算を行うチップ(集積回路)のサイズが小さいほど光が通る際の発熱量(=エネルギーのロス)は抑えられるという性質があり、フォトニック結晶を用いるとチップを超小型化できるためである。

なお、2019年にNTTが発表した、光電融合など光を中心とした革新的な技術を活用し、高速大容量通信を実現する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」の開発ロードマップによると、まず計算に使うチップと周辺部品を光でつなぐ技術を確立し、次の段階ではチップ同士を光で接続した上で、2030年の最終段階において光で計算する光電融合チップの実用化を目指すとされている(図表4-1-5-7)。

図表4-1-5-7 「光電融合」開発ロードマップ
(出典)リコー経済社会研究所(2022)「データセンターを省エネ化、「光電融合」とは?」


19 第1部第3章第2節参照

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