第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第1節 加速するデータ流通とデータ利活用

(1) 日本

我が国では、2019年6月、「世界最先端デジタル国家」の創造に向けて「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が閣議決定された。同計画では、重点項目として「国民生活で便益を実感できるデータ利活用」が掲げられており、実現のための取組の一つとして「官民におけるデータの徹底活用」が挙げられている。

また、2021年6月には、「包括的データ戦略」が閣議決定された。同戦略では、「フィジカル空間(現実空間)とサイバー空間(仮想空間)を高度に融合させたシステム(デジタルツイン)を前提とした、経済発展と社会的課題の解決を両立(新たな価値を創出)する人間中心の社会」を実現するための官民双方に共通する行動指針としてデータ活用原則(①データがつながり、いつでも使える、②データを勝手に使われない、安心して使える、③新たな価値の創出のためみんなで協力する)が示されるとともに、7つの階層における課題と方策が取りまとめられている。各階層で特に注力すべき課題として、第5層の「ルール」では「トラスト4」、第3層の「連携基盤」及び第4層の「利用環境」では「プラットフォーム」、第2層の「データ」では「基盤となるデータの整備」、第1層の「インフラ」では「デジタルインフラの整備・拡充」が掲げられている。なお、包括的データ戦略は2023年に改定された重点計画に引き継がれ、引き続き、政府として重点的に取り組むべき施策を推進することとしている。



4 「トラスト」とは、サイバー空間におけるデータそのものの信頼性や、データの属性・提供先の信頼性を指し、フィジカル空間の情報をデータとしてやり取りするための信頼を担保する仕組みの必要性が指摘された。

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