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第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第2節 豊かなデータ流通社会の実現に向けて

3 標準化など国際的なルールの形成

新しいサービス・製品を普及させるには同時にサービス・製品に関するルールの普及も重要となる。

メタバース等のデジタル空間には国境の概念がなく、インターネットを通じて世界中の人々が参加・利用可能であることから、標準化を含め国際的なルールを国際社会と連携して形成・普及させる必要がある。

メタバースに関しては、相互運用性の実現を目指した国際的なフォーラム組織に多くの企業・団体等が参加するなど、既に、民間主導による国際的なルール形成に向けた動きが広がっている。世界経済フォーラムは、2022年5月の年次総会において、メタバースに関する官民の国際連携枠組として「公平で相互運用性の高い安全なメタバース構築のための新しいイニシアチブ16」の立ち上げを公表した。2022年6月には、米国The Khronos Group Inc.の主導により、メタバースの相互運用性標準の開発を促進する業界団体としてメタバース・スタンダード・フォーラム(Metaverse Standards Forum)が設立され17、「アバターのID管理、プライバシー」や「XR等のヒューマンインターフェイス」などメタバースに適用するオープンな標準規定の策定に取り組んでいる。

また、ITU-Tの関連するスタディグループの中で、メタバースにおける相互互換性の確保を想定し、セキュリティ、有線回線でのコンテンツ伝送、デジタルメディアの符号化と配信等についての検討が行われるとともに、伝送路観点での標準化についても、遅延の許容値、そのばらつきを示す指標であるジッター、パケットロス要件等が示されている。また、メタバースの標準化に関し幅広く情報を収集するため、メタバース・フォーカスグループ18(FG-MV)を設置し、今後標準化すべき項目や、他の標準化機関との連携の在り方について検討が進められている。

さらに、VRMコンソーシアムが中心となり、日本発の3Dアバターの標準規格であるVRMフォーマットの策定を推進している。また、我が国から、VRMコンソーシアムなどの関係団体や民間企業が、Metaverse Standards Forumに参加するなど、国際標準化に積極的に取り組む動きが見られつつある19

このように、複数のプラットフォーム間の相互運用性の確保に加え、高度なデータ圧縮技術や3Dアバターの規格等についても標準化に向けた動きが進んでおり、こうした取組について、我が国も国際社会と連携し能動的かつ主体的に対応・推進していく必要がある。

高度化・普及が進むAIについても、各国が連携して推進施策や規制の在り方等を検討していくことが重要である。

AIでは、開発の振興、利活用の推進、適切な規制いずれもが重要である。このような考え方に基づき、2023年4月に開催されたG7デジタル・技術大臣会合では、議長国である我が国の主導により「信頼できるAI」の普及推進という各国共通のビジョンを実現するための方策について議論が行われた。その結果、各国や地域によって異なるAIの管理や運用に関する基本的枠組等AIガバナンスの相互運用性等を促進するためのアクションプランが合意されるとともに、ChatGPT等の生成AIについて早急に議論の場を持つことについても合意に至った。また、同年5月のG7広島サミットにおいても、生成AIについて議論するために広島AIプロセスを創設することが合意された。今後も引き続き、アクションプラン等に基づき、各国と連携して、AIの利用環境の整備等を進めていく必要がある。



16 https://initiatives.weforum.org/defining-and-building-the-metaverse/home別ウィンドウで開きます

17 2023年3月時点で、Meta、Microsoft、アリババ、ドイツテレコム、ソニーエンターテイメント、NTTコノキュー等2,300以上の団体が参加。

18 Focus Group:勧告の策定の検討にあたり幅広く情報を収集することを目的とする、ITUのメンバーでなくとも参加可能な時限的な組織。

19 総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」中間とりまとめ https://www.soumu.go.jp/main_content/000860618.pdfPDF

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