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第2部 情報通信分野の現状と課題
第2節 電気通信事業政策の動向

(4) 違法・有害情報への対応

ア 概要

インターネット上の違法・有害情報の流通は引き続き深刻な状況であり、総務省では、関係者と連携しつつ、誹謗中傷、海賊版、偽情報などの様々な違法・有害情報に対する対策を継続的に実施してきている。

イ インターネット上の誹謗中傷への対応

総務省では、インターネット、特にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をはじめとするプラットフォームサービス上における誹謗中傷に関する問題が深刻化していることを踏まえ、2020年(令和2年)9月に取りまとめ、公表した「インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」に基づき、関係団体などと連携しつつ、次のような取組を実施している。

① ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシー向上のための啓発活動

② プラットフォーム事業者の自主的な取組の支援及び透明性・アカウンタビリティの向上(プラットフォーム事業者に対する継続的なモニタリングの実施)

③ 発信者情報開示に関する取組(改正プロバイダ責任制限法15の円滑な運用)

④ 相談対応の充実(違法・有害情報相談センターの体制強化、複数の相談機関間における連携強化及び複数相談窓口の案内図の周知)

特に、①の取組の一環として、総務省では、法務省、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構及び一般社団法人セーファーインターネット協会と共同して「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」というスローガンの下で特設サイトを開設し、SNS上のやり取りで悩む方に相談窓口などの役立つ情報を提供する、人気キャラクター『秘密結社 鷹の爪』とタイアップした特設サイトなどを作成するなど、政府広報を含む様々な媒体を通じて啓発活動を実施している(図表5-2-5-1)。

図表5-2-5-1 「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」関連コンテンツ

なお、この政策パッケージに基づき、「プラットフォームサービスに関する研究会」において、プラットフォーム事業者へのヒアリング等を行い、2022年(令和4年)8月、違法・有害情報への対応について今後の方向性などを取りまとめた「第二次とりまとめ」を公表した。本取りまとめでは、プラットフォーム事業者による投稿の削除等の措置に関する透明性・アカウンタビリティの確保に向けて、透明性・アカウンタビリティの確保方策に関する行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組の導入等の行政からの一定の関与について、速やかに具体化することが必要であるとされている。また、誹謗中傷等の違法・有害情報の流通が引き続き深刻である実態を踏まえ、これらを実効的に抑止する観点から、専門的・集中的に検討するための有識者会合として、2022年(令和4年)12月から「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」を開催し、プラットフォーム事業者の投稿の削除等に関する透明性確保の在り方及び違法・有害情報の流通を実効的に抑止する観点からのプラットフォーム事業者が果たすべき役割の在り方等について検討を進めている。

ウ インターネット上の海賊版への対策

総務省では、2020年(令和2年)12月、「インターネット上の海賊版対策に係る総務省の政策メニュー」を取りまとめた。この政策メニューに基づき、ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のために啓発活動を行い、セキュリティ対策ソフトによるアクセス抑止機能の導入を進め、発信者情報開示制度に係る法改正を実施し、ICANNなどの国際的な場における議論を通じて国際連携を推進している。

また、2021年(令和3年)11月から「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止に関する検討会」を開催し、関係事業者等へのヒアリング等を行い、2022年(令和4年)9月、総務省の政策メニューや関係事業者等における取組の進捗を確認するとともに、より実効的な取組を実施するために海賊版サイトを支えるエコシステム全体に着目した対策の検討を行った「現状とりまとめ」を公表した。

エ 偽情報への対策

総務省では、近年問題となっているインターネット上の偽情報について、「プラットフォームサービスに関する研究会」において議論を行っている。同研究会を通じ、プラットフォーム事業者の取組とその透明性等に関するモニタリングを実施しており、2022年(令和4年)8月に当該モニタリングの結果や海外の動向に関する調査結果等を踏まえ、プラットフォーム事業者による適切な対応や透明性の確保のための今後の方策やICTリテラシー向上の推進等の取組の方向性を示した第二次取りまとめを公表した。

2023年(令和5年)3月、同研究会において、各ステークホルダーによる自主的な対応をまとめた「偽情報対策に係る取組集 Ver1.0」を公表。同年4月29日及び30日に開催されたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合の閣僚宣言において、偽情報対策に関する民間企業や市民団体を含む関係者によるプラクティス集(Existing Practices against Disinformation; 「EPaD」)を作成することが宣言された。

また、利用者のリテラシーの向上推進のため、2022年(令和4年)6月に偽・誤情報に関する啓発教育教材「インターネットとの向き合い方〜ニセ・誤情報に騙されないために〜」を開発・公表したほか、同年11月に「ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会」を立ち上げ、これからのデジタル社会において求められるリテラシーの在り方や当該リテラシーを向上するための推進方策について検討を進めている。



15 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第27号)

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