第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第1節 データ流通・活用の新たな潮流

1 Web3

(1) Web3とは

スマートフォンやSNSの普及により、双方向でのデータ利用や共有が可能となった反面、サービス基盤を提供するプラットフォーマーへデータが過度に集中するようになった。これに伴い、データ市場における競争環境の整備、データの透明・適切な取扱いなどの課題が顕在化し、各国において様々な対応がなされている(第2章第2節参照)。このような中、データ管理・流通の新たな在り方として「Web3」が注目されている。

Web3は、ブロックチェーン技術を基盤する分散型ネットワーク環境であり1、プラットフォーマー等の仲介者を介さずに個人と個人がつながり、双方向でのデータ利用・分散管理を行うことが可能となることが期待されている。ブロックチェーンは、ユーザーがウェブサービスを利用する際のデータ記録・データ移動の基盤として活用される。更には、ブロックチェーンに保存されたプログラムであるスマート・コントラクトを活用することで、上記のような人手を介さずに契約等のやり取りを自動的に実行させる仕組が実現可能になる。

Web3では、ブロックチェーンを基盤とする分散化されたネットワーク上で、特定のプラットフォームに依存することなく自立したユーザーが直接相互につながる新たなデジタル経済圏が構築されるため「非中央集権的」とも言われている(図表3-1-1-1)。

このようなWeb3環境下では、取引コストを縮減し、国境やプラットフォーム間をまたいであらゆる価値の共創・保存・交換を可能にすることで、文化経済領域の新たなビジネスモデル構築や投資・経済活性化、社会課題解決の促進等の社会的インパクトが期待されている。

図表3-1-1-1 Web3の特徴
(出典)総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」(第1回)資料1-2を基に作成


1 本書では、「Web3」を情報リソースに意味(セマンティック)を付与することで、人を介さずに、コンピューターが自律的に処理できるようにするための技術である「セマンティックウェブ」として提唱された「Web3.0」とは異なる概念と整理している。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る